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代表的な心臓病について

代表的な心臓病

(1)虚血性心疾患(狭心症、心筋梗塞)

心臓は全身に血液を介して酸素と栄養を送る臓器で休むことなく拍動を続けています。健常な方の心拍数は安静時で60~80/分で、24時間で約10万回拍動します。心臓そのものも大量の酸素と栄養を必要とするため、心臓の表面には網の目のように張り巡らされた心臓そのものを栄養する血管(冠動脈)があります。冠動脈に動脈硬化が生じて狭くとなると狭心症が生じます。心筋梗塞とは冠動脈が突然つまってしまう状態です。狭心症は安静にすることにより胸痛が収まりますが心筋梗塞は安静にしても症状は収まりません。場合によって突然死を招くこともあり、迅速に病院での治療を受ける必要があります。狭心症の発作は他人には説明しにくいもので、「何かこの辺りが~」と明確に場所を指さしできないところが特徴です。冷や汗がでるようなら重症発作の予兆の可能性が高いので救急車を要請した方が無難です。労作性狭心症など時間に余裕がある場合は冠動脈CTやトレッドミル運動負荷試験、心臓核医学検査をおこなうことで外来の段階で冠動脈病変の詳細につき患者さんにお話しすることができます。心筋梗塞の患者さんには早期より心大血管リハビリテーションを行うことで早期社会復帰を目指しています。

(2)心不全

心臓のポンプ機能が著しく障害された場合に生じる状態です。心筋梗塞・心臓弁膜症・高血圧や心筋炎・心筋症・不整脈などが原因となります。ゆっくり進行する場合には足のむくみや運動時の息切れなどで気がつきますが。急速に進行する場合にはむくみが肺にまで及んで呼吸困難に陥ります。救急車搬送を要することも多い疾患です。息切れが自覚症状の代表ですが「横になると息がつらく座ると楽になる」といって早めに来院される方もおられます。心不全でこのような症状が出る場合には体重が増加している場合が多いです。
入院期間の前半は治療に主体を置き、後半は原因となった基礎心疾患の診断に主体を置きます。正確な診断のために心電図検査や心エコー図検査などを行います。時には心臓カテーテル検査で冠動脈の評価や治療が必要となることがあります。重症例に対しては心臓再同期療法(両心ペーシング:CRT)を行っています。再発を予防するために、塩分制限をはじめとする食事指導や内服薬の調整を行います。

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(3)不整脈

心臓は規則正しく拍動することにより全身に血液を送り出す臓器です。このため運動時や緊張した時には脈拍が速くなり、安静時や睡眠時には脈拍は遅くなります。不整脈とは突然に必要以上に脈拍が速くなったり遅くなったり、或いは乱れたりする病気です。
速くなる不整脈を頻脈、遅くなる不整脈を徐脈といいます。頻脈性不整脈には薬物治療、カテーテルアブレーション治療などを行います。徐脈性不整脈に対してはペースメーカー治療を行っています。心室頻拍や心室細動などの重症不整脈で必要があれば植え込み型除細動器(ICD)の植え込みを行っています。退院後はペースメーカー/ICD外来でフォローアップを行います。

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(4)急性大動脈解離

心臓と全身の臓器をつなぐ大動脈に亀裂が入る病気です。突然に発症することが多く、強い胸痛や背部痛を自覚します。時に移動性で、強くなったり弱くなったりすることもあります。「何時何分に何をしていた時に発症した」と、患者さん本人がはっきり覚えているほど突然発症することも特徴の一つです。重症化すると突然死することも多い、きわめて緊急性の高い疾患です。救急外来で心臓超音波検査、緊急造影CTを使用して発症部位や重症度を迅速に診断することが必要です。緊急手術が必要なことも多く心臓血管外科とタイアップして治療にあたります。入院後は集中治療室で厳重な管理のもと心大血管リハビリテーションを開始し、早期社会復帰を目指します。
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(5)肺塞栓症、深部静脈血栓症

肺は空気中の酸素を取り込む臓器です。血液中の酸素濃度を効率よく取り込むために全身の静脈がつながっています。肺塞栓症とは肺の血管がつまる病気です。多くの場合、足や腹部の静脈内に生じた血栓(血の塊)がつまる(塞栓=栓で塞ぐ)ことにより生じますが、まれに腫瘍などが塞栓して生じることがあります。「突然に息が苦しくなった、胸が痛い」といって受診することが多いです。時に重症化し、危篤状態になる方もいます。造影CT検査、下肢静脈エコー図検査、肺血流シンチなどで診断を行います。治療は酸素投与と点滴、内服が主体ですが、時に下大静脈フィルターの留置が必要になります。退院後は最低数カ月間の抗凝固療法を行いますが、用いる薬剤の種類によっては納豆や緑黄色野菜の摂取制限が必要となります。

(6)心臓弁膜症

心臓の出入り口には弁膜という逆流防止弁がついています。この弁膜が壊れたり硬くなったりして生じるのが心臓弁膜症です。かつてはリウマチ性の弁膜症が多かったのですが、最近は動脈硬化性の弁膜症が増えています。軽症の場合は投薬は不要ですが重症化すると息切れなどの心不全症状があらわれることがあります。心エコー図検査が最も効果を発揮する分野の疾患です。定期的な検査を行いつつ手術を適切な時期にお勧めしています。また感染性心内膜炎といって細菌が心臓弁膜に付着して急速に心不全に至る重篤な方もおられます。

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