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更新日付:2024年10月3日 / ページ番号:C058183
さいたま市水道局では30年以上にわたり、ラオス国の水道分野へ技術協力を続けています。
ラオスの地図 |
ラオスのことをご存じですか? 3つの歴史遺産を中心とした観光収入が重要な外貨獲得産業となっていて、特に、町全体が世界遺産である古都ルアンパバーンには世界中から旅行者が集まり、平成27年(2015年)にはイギリスの人気旅行誌で「満足度の高い観光地」第1位に選ばれました。 近年は、東南アジアの物流の要となる東西・南北の経済回廊の整備や経済特区の設置により、海外企業の進出が進み、高速鉄道や高速道路の建設も実施されるなど、急速な発展を遂げています。 |
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ラオスの国花 「プルメリア」 |
ラオスのシンボル「タートルアン」 (ビエンチャン) |
凱旋門からの市街風景 (ビエンチャン) |
托鉢の様子 (ビエンチャン) |
世界遺産の街並み (ルアンパバーン) |
ナイトマーケット (ルアンパバーン) |
地方都市のメイン通り (タケク/カムアン) |
メコン川に沈む夕日 (タケク/カムアン) |
ラオスでは、水道普及率は全国で約25パーセント(令和2年(2020年))であり、井戸等の小規模施設を含めても安全な水へのアクセスできる割合は限られています。乳児死亡率や5歳児未満死亡率は日本と比べていずれも約30倍と高く、その大きな要因のひとつが水系感染症であると言われています。
都市部でも水道の普及率は80パーセント弱(令和2年(2020年))で、国家計画では都市部水道普及率を令和12年(2030年)までに90パーセントへ上げることを目標に、公衆衛生の向上と、増加する都市人口に対応するためのインフラ整備として、国際機関や先進国の協力の下、上水道整備に最重要課題のひとつとして取り組んでいます。
さいたま市水道局のラオス水道分野への支援は、平成4年(1992年)に厚生労働省の要請により、ラオスの水道に対してどのような支援ができるかという水道事業調査に参加したことから始まりました。平成6年(1994年)には初めてJICA(国際協力機構)の短期専門家として職員を6か月派遣し、その後も専門家派遣や研修員受入など、継続的な支援を実施することで信頼関係を築き上げてきました。
これまでの協力内容については、国際協力リーフレット2023(~さいたま市水道局のラオスとの関わり~)(PDF形式 1,115キロバイト)をご覧ください。
平成24年(2012年)からは、JICAの大型技術協力プロジェクトへの参画を皮切りに、現在に至るまで切れ目なくJICAの事業を通した技術協力を行っています。以下にそれぞれの事業の概要を記載いたします。
ラオス国が掲げる、2030年度までに都市部水道普及率を90パーセントへ上げるという国家目標に寄与することを目的とした技術協力プロジェクトに、埼玉県企業局、横浜市水道局、川崎市上下水道局の3事業体と共に参画し、協力を行いながら事業を実施しています。このプロジェクトは高い成果を挙げるとと同時に、支援の継続に関してラオス国からも強い要望があり、支援内容や対象を発展させながら、令和5年(2023年)に第3フェーズが開始されています。下記に各フェーズごとの事業概要を紹介します。
このプロジェクトはラオスにおける水道公社の中期的視野に基づく事業管理能力の強化を目標としています。
日本では、長期の事業計画に基づき施設整備や財政計画を策定していますが、ラオスでは計画を立てるためのデータや情報が十分整備されておらず、また施設整備を長年海外ドナーに依存してきたこともあり、自ら長期的な計画を立てることができませんでした。
そこで、ラオス国内のビエンチャン特別市(首都)、ルアンパバーン県(北部・県都ルアンパバーン)、カムアン県(南部・県都タケク)、3都市の水道事業を運営している水道公社をパイロットとして、事業計画の策定と実施、必要なデータ整備を支援しました。また、国の水道管轄機関である公共事業運輸省水道局においては、事業ガイドラインやモニタリングシステムの構築を支援しました。これらを日本人専門家が作ってしまう、実施してしまうのではなく、ラオスの水道関係者自らが実現する形で支援し、最終的にはラオスの国・県・水道公社、水道セクター全体の組織・運営体制が整備されることを目指し、専門家派遣と研修員受入を実施しました。
MaWaSUプロジェクト紹介ページへ
MaWaSUプロジェクトにおいて、対象となる3都県水道公社の能力向上が図られた一方で、水道公社における経営基盤の脆弱性や、設備投資や更新をドナーなどの外部資金に大きく依存している体制は継続した課題となっています。また、施設整備・運営に関与する民間企業が増加する中で、管理するための法制度や事業認可制度なども整備されておらず、官民による適切な水道事業運営のための環境が整えられていない状況にあります。この状況を受けて、ラオスでは水道行政能力の強化と水道公社の経営改善を目的として継続した技術支援が求められていました。
第2フェーズとして実施されたこのプロジェクトでは、継続課題の改善に寄与するため、主に水道行政の改善や水道公社の計画・実施能力、関係省局の審査・モニタリング・評価能力の強化、技術基準の策定を通した水道公社の能力強化のために必要な基盤整備などを実施しました。事業の特徴として、これまでの3都県水道公社中心の支援から、その対象を全国18都県に拡大させたことや、水道行政に関しても能力強化に関する体系的な支援を実施した点が挙げられます。さらに、この事業の支援を通してラオス水道協会が設立され、水道公社の能力強化に係る全国的な研修活動の中核を担っています。
MaWaSU2プロジェクト紹介ページへ
ラオスにおいて国家目標の達成を目指すうえでは、MaWaSUプロジェクト及びMaWaSU2プロジェクトで得られた成果を限定的なものとせず、ラオス全国に展開・定着させる必要があります。また、設立されたばかりのラオス水道協会に対しても、自律的な水道公社の能力強化を継続するための担い手として、体制強化を図ることが求められています。
第3フェーズとなるこのプロジェクトでは、上記課題を踏まえ、主に水道管轄省庁の法令執行管理体制の強化を通じた水道行政の改善、各都県と水道公社が協力してより採算性のある水道事業計画を策定するための連携体制の構築、水道人材の育成に係る研修体制の強化等を主眼に据え、水道セクターの持続可能な体制の強化を目指して実施されています。
MaWaSU3プロジェクト紹介ページへ
JICA草の根技術協力事業(以下、草の根事業)は自治体やNGOなどの実施団体がJICAに対してそれぞれ計画した内容を提案し、採択を受けて実施する事業です。技術協力プロジェクトと比較すると小規模な事業となりますが、「草の根」の名前の通り、現場に即したきめ細かい支援が特徴となっています。さいたま市でも、その知識や経験を活かせる分野において、上記の技術協力プロジェクトと平行して職員の派遣や研修生の受入を通した技術支援を行っています。
MaWaSU2プロジェクトと同時期に、当局がJICAに提案し採択された、草の根技術協力事業「水道公社における上水道管路維持管理能力向上支援事業」を開始しました。提案当時、浄水場の施設整備や、運転管理能力向上に関する支援が他事業において行われていた一方で、それを住民に届ける配給水管の維持管理に関する直接的な技術支援が無い状況でした。この配給水管の維持管理については、ラオス国においてもニーズが高く、末端給水事業者としてさいたま市が知識や経験を有する分野でもあったため、その支援に関する提案を決定しました。
この事業では、長期的な目的である漏水の削減と、それを通した安定給水の実現を目指しています。水道の拡張期にあるラオス国において、将来的な漏水を防止する観点から、新規の管路布設において、適切な施工管理が実施されることが重要です。そのため、現場で実際に使用される施工管理に関するマニュアルの作成・運用や、施工に使用される資機材の見直しなどを目的とした活動を行い、同時期に実施されたMaWaSU2プロジェクトと連携しながら、その成果をラオス全国へと展開しました。
草の根技術協力事業紹介ページへ
現地小学校で実施された 日本式の水道教室 【MaWaSUプロジェクト】 |
3都県水道公社による 合同分科会(グループ活動) 【MaWaSU2プロジェクト】 |
活動の基本となるOJT 【MaWaSU3プロジェクト】 |
水道管布設現場での 指導風景 【草の根技術協力事業】 |
世界に目を向けると、安全な水を、いつでも必要な量だけ手に入れることができるということは、当たり前のことではありません。
すべての国連加盟国と23の国際機関が定めた、『ミレニアム開発目標(MDGs)』という、極度の貧困と飢餓の撲滅など、平成27年(2015年)までに達成すべき8つの目標を掲げた開発分野における国際的な取り組みがありました。水道分野においては、安全な飲料水にアクセスできない人口の半減を目指していたものです。
そして平成28年(2016年)から令和12年(2030年)の新たな国際目標として設定されたのが『持続可能な開発目標(SDGs)』です。水・衛生分野については、17のゴールの中の6番目に「全ての人に水と衛生へのアクセスと持続可能な管理の確保」として位置付けられています。MGDsでは環境に関するゴールの中のターゲットの一つであったことに比べ、SDGsでは水・衛生分野の重要度が増しています。
JICAでは、水問題の解決は人間の安全保障を実現する上で重要な課題と位置づけ、国内の地方自治体などが持つノウハウや技術を活かした支援を行っています。意外と知られていないことですが、上水道分野における国際協力については、日本は世界のトップドナーとして大きく貢献しています。浄水場や井戸の建設など施設整備だけでなく、継続的に事業を運営できる体制作りや人材育成も行われています。日本の水道システムは世界でもトップクラスであり、高い技術と運営ノウハウを持つ日本の上水道分野の支援に対する途上国の期待は高いものとなっています。
さいたま市でも、国際社会での責任を果たすため、今後も積極的に国際協力事業に協力していきます。
カオリオ浄水場(ビエンチャン) (JICA無償資金協力) 昭和39年(1964年)竣工 |
新タケク浄水場(タケク) (JICA無償資金協力) 平成28年(2016年)竣工 |
国際協力事業の最新の情報を発信し、事業に対するご理解を少しでも深めていただくことを目的として、定期的にかわら版を発信します。
2024年度より、より広く一般的に国際協力事業やラオスのことを知ってもらうために、かわら版のリニューアルを行いました。
・YOUは何しにラオスへ? 2024 Vol.1(水道局の職員が海外で仕事してるってホント?)(PDF形式 499キロバイト)
・ YOUは何しにラオスへ? 2024 Vol.2(北九州市上下水道局が成し遂げた「プノンペンの奇跡」とは?)(PDF形式 2,912キロバイト)
過年度のかわら版(Saica NEWS)については、下記のページをご覧ください。
水道局の国際協力事業かわら版(Saica NEWS)(平成31年度~令和5年度)
水道局/業務部/経営企画課
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