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更新日付:2024年5月29日 / ページ番号:C114599
「市報さいたまプラス」では、「市報さいたま」の特集紙面で掲載しきれなかった情報、こぼれ話などを掲載しています。
暑さとともに食中毒が増える季節になってきました。食中毒菌は「これぐらい」平気・「まだ」大丈夫、といった、あなたの“思い込み”を狙っています。そこで今回は、日夜食中毒と戦う生活衛生課の小澤さん、岡崎さん、徳江さんに食中毒対策に関するお話を伺いました。
代表的な食中毒の原因のひとつ、ノロウイルス。除菌用スプレーなど、アルコールでは死滅しない手ごわい相手です。ファイター小澤、どう立ち向かうか!?
小澤「実は、『手洗い』こそ最大の防御策です。流水で汚れを落としてから、石鹸を泡立て、汚れの残りやすいところを意識しながら、丁寧に洗うことがポイント。
ちなみに、ノロウイルス感染者の吐しゃ物や便の後始末には塩素系漂白剤が有効ですが、処理した後の手洗いが不十分で感染してしまったケースもあります。ノロウイルスは気を抜けない相手ですが、感染予防の基本のキの字は『手洗い』と覚えてください。また、ウイルスに限らず、手にはさまざまな菌が付着している可能性があります。トイレの後も手をよく洗わずに調理をしたことで、食中毒を起こしてしまったケースもありますので、こまめに・念入りに・習慣的に「手を洗う」ことで自分や家族を食中毒から守ってくださいね」
小澤「逆に『洗ってはいけない』ものもあります。それは『生肉』。生肉に付着している病原大腸菌やカンピロバクターは、洗っても落ちないだけでなく、洗ってしまうと細菌を含んだ水滴が飛び散り、調理器具やほかの食材について食中毒の原因となることがあります。肉を調理する際に使った包丁やまな板は使用後によく洗い、熱湯や塩素系消毒剤で消毒しましょう」
「鶏肉の表面をあぶっていれば、中は半生でも食べられる」なんて思っていませんか?「それは誤りです!」と強く警告するのはファイター岡崎。熱い戦いの火ぶたが切られました!
岡崎「鶏肉にいるカンピロバクターは内部にも浸透しているので、表面をあぶっただけでは殺すことはできません。中心部の色が変わるまでしっかり加熱(中心温度75度で1分以上加熱)する必要があります。新鮮な鶏肉だから生で食べられると思った、生焼けなのに食べてしまった、生肉と一緒に盛られていた野菜を生で食べてしまった…などといった、そんな『ついつい』が巻き起こした食中毒の事例はたくさんあります。鶏肉は芯まで加熱!ぜひ注意してください。
では、どんなものでもとりあえず加熱すれば大丈夫?
岡崎「 『時間が経ったおにぎりでも、食べる前に温めなおせば食中毒にならない』というのも間違いです。調理の際に付着した黄色ブドウ球菌は、常温で放置されると毒素を産生してしまい、加熱して殺菌できても毒素が残ります。調理の前に手を洗い、おにぎりを握るときはラップや使い捨て手袋を使いましょう。黄色ブドウ球菌を食品につけないようにするとともに、調理後の食品は速やかに10度以下に冷やして、できるだけ早く食べきるようにしましょう」
3つ目のファイトは「加熱しても生き残る」食中毒菌。ファイター徳江、どう戦うか!?
徳江「先ほど、加熱して殺菌するという話が出ましたが、これはウェルシュ菌には当てはまりません。『大量にカレーを作り、翌日まで室温で放置。レンジで温めなおして食べた』。誰もが経験したことがあると思いますが、室温で放置したカレーやシチューを食べると、ウェルシュ菌による食中毒を起こすリスクがあります。ウェルシュ菌は熱に強い芽胞という殻のようなものを形成し、加熱しても芽胞は死滅しません。常温で保管しているとウェルシュ菌が食品の中で増えてしまいますので、一度に大量に調理して保管する場合は、小分けにして10度以下に急冷することが大切なんです」
10度以下に急速で冷やせば、食中毒にならないということですか?
徳江「ウェルシュ菌による食中毒は、前日調理(芽胞が残る)・室温保管(菌が増える)・不十分な再加熱(菌が生き残る)の3つが原因になることが多いので、できるだけ食べる当日に調理し、保管する場合には急冷して、食べるときはよくかき混ぜながら十分に再加熱を行うようにしましょう。ちなみに、魚に寄生する寄生虫のアニサキスは冷蔵庫の温度で冷やしても殺すことはできません。アニサキスは加熱するか、マイナス20度で24時間以上冷凍することが必要です。また、アニサキスによる食中毒の予防には、新鮮な魚を選ぶ、速やかに内臓を取り除く、目視で確認してアニサキスを除去することも大切です。食中毒の原因を正しく知って、確実にノックアウトしましょう!」
最後に、細菌性食中毒とウイルス性食中毒の一般的な予防方法をまとめました。
細菌性食中毒は、原因となる細菌やウイルスが食べ物に付着し、体内へ侵入することによって発生します。細菌による食中毒を予防するためには次の3点を守ることが大切です。
・手を洗うなどして細菌を食べ物に「つけない」
・冷蔵保管することで食べ物に付着した細菌を「増やさない」
・加熱するなどにより食べ物や調理器具に付着した細菌を「やっつける」
ウイルス性食中毒は、食品の中では増えないので“増やさない”は当てはまりません。しかし、ごくわずかなウイルス汚染によって食中毒を起こすため、次の4点が重要にです。
・ウイルスを調理場内に「持ち込まない」
・食べ物や調理器具にウイルスを「ひろげない」
・食べ物にウイルスを「つけない」ことの徹底
・付着してしまったウイルスを加熱して「やっつける」
これらの予防原則は一つだけ実践しても不十分で、すべてを行う必要があります。正しい知識を持って、食中毒菌から自分や家族、大切な人を守りましょう。
市長公室/秘書広報部/広報課 広報係
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