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更新日付:2024年12月23日 / ページ番号:C117287
令和6年4月25日に発覚した土地売却に係る不適正な事務処理について、「さいたま市土地区画整理事業における不適正事務処理に関する調査検討会議」(以下「調査検討会議」という。) において調査検証した事実の経過及び原因・背景等並びに再発防止策について報告します。
令和6年1月10日、与野まちづくり事務所の課長補佐級職員(以下「当該元職員」という。)が、与野駅西口土地区画整理事業地内の本市所有の土地(以下「当該土地」という。)を相手方に売却するため、行政財産の用途廃止及び処分に係る財政局との事前協議が調わないまま、さいたま市事務専決規程(平成15年さいたま市訓令第8号)で定められた契約締結に必要である局長の決裁を受けず、不正に同事務所で保管するさいたま市長の公印を使用して土地売買契約書を作成し、本市の行政財産である当該土地を売却しました。
調査検討会議の開催 11回
関係者へのヒアリングの実施 24人、延べ40回
~なぜ不適正な事務処理が行われたのか~
・当該元職員は、当初は正規の手続ルートを踏んで資産経営課との事前協議を進めていたが、随意契約にするための事前協議が数か月に及び、相手を待たせているという思いや焦りが生じた。
・当該元職員は、当時業務過多になっていたこともあり、懸案を少しでも減らしたい、自分の業務をとにかく手放したいとの思いが心理的な要因となり判断力も鈍っていた。
・当該元職員は、自分の業務として当該土地の売却を実現させたいという強い思いがあり、資産経営課との事前協議の成立の見込が立たない中、相手方から「土地の売買代金が用意できた」という連絡を受け、当時の所長に契約を進めてよいか確認して担保をとったと考え売却を進めた。
・当時の所長は、当該元職員に対して、事前協議が成立したか確認することなく契約を進めることを了承した。
~なぜ組織として防ぐことができなかったのか~
(1)意思決定の不存在・不明確な随意契約理由
・土地売払いに関して都市局としての明確な方針決定がなかった中、与野まちづくり事務所と都市局幹部の職員間において認識に乖離が生じた状態で、局のフォローアップも不十分となり、組織的な進行管理が適切になされていなかった。
・財政局との事前相談において、市有地の売却は原則として競争入札であり、随意契約ならば、法令等に適う理由が必要であるといわれたにもかかわらず、与野まちづくり事務所においても随意契約とする理由を明確にできないまま、財政局との間で行政財産の用途廃止及び処分の事前協議が進められた。
(2)管理職及び職場内におけるチェック体制の機能不全
・当該元職員に対する過度の信頼や、他の職員の契約手続、土地売却に係る知識不足により、与野まちづくり事務所において適切な監督機能や内部牽制が働かなかった。
・当該元職員がほとんど一人で相手方と協議を含めて担当しており、当該土地売却について詳細を把握している者がいなかった。
・令和6年2月定例会における歳入補正予算要求(土地売払収入)の際に、都市局内の決裁手続過程において気づくことができる機会があったものの、結果的にチェック機能が働かなかった。
(3)異なる事務手順、決裁の不存在
・異なる事務手順、決裁の不存在により、チェック機能が働かなかった。
(4)ルーズな公印管理
・与野まちづくり事務所においては、勤務時間中は、執務室内のキャビネット上に公印の入った印箱が置かれており、決裁文書を照合しなくても、職員であれば誰でも公印を押印できる状況であった。
1 組織体制・財産管理・公印管理に係る全庁照会について
(1)組織体制
各所属の決裁過程の適正性等を点検し、その改善を図り、適正な事務処理の執行を確保するため、「決裁ラインにおけるチェック体制や職場における事務執行状況等」について、令和6年8月に全所属において事務点検を実施しました。
事務点検の結果、調査時点において、決裁ラインにおけるチェック体制や事務執行状況について、適正に執行されていることを確認しました。
(2)財産管理
令和元年度から令和6年度(6月末時点)までに契約した土地の売払い(166件)について、必要な内部決裁等を行っていないものがないか、全庁調査を実施しました。
併せて、土地の売払いと同様に契約行為を行う事務手続の実態を把握するため、令和5年度及び令和6年度(6月末時点)に公有財産の貸付けの契約をしたもの(令和5年度1,010件、令和6年度942件)についても全庁調査を実施しました。その結果、土地の売払いについては6件、公有財産の貸付けについては20件の契約において、契約そのものの有効性には影響はありませんが、一連の事務手続の中で、財政局との事前協議に係る内部決裁等がなされていないことを確認しました。
なお、これらの土地の売払いについては、該当の土地は事業用地としての活用の目途はなく、公用又は公共用に供することがなくなったものであり、契約締結の決裁は適切に行われていました。また、公有財産の貸付けについては、法に定められている貸付要件が具備されており、契約締結の決裁は適切に行われていました。
(3)公印の管理
さいたま市公印規則(平成13年さいたま市規則第15号)(以下「公印規則」という。) に基づく公印(1,709個)を保管している課所(407課所)を対象に公印の管理状況について全庁調査を実施しました。公印規則に基づき、公印保管者(公印保管課の課長等)から、「保管場所」や「印影」など、保管する公印の状況について、公印総括管理者(総務局総務部総務課長)への報告を求めました。
また、公印規則に基づく公印のうち、市長印等の使用承認の必要な公印(969個)を保有している課所(274課所)を対象として、各局区長等が直接公印保管課へ赴き、チェックシートに基づき公印保管状況を確認した上で報告しました。確認作業の中で必要に応じて、各所管において、施錠の徹底、鍵の管理方法の見直しや押印場所の見直しを実施しました。
いずれの調査においても、公印の数に過不足はなく、必要な見直しを実施し適正に管理されていることが確認されました。
2 与野駅西口土地区画整理事業における不適正な事務処理の是正結果
(1)当該土地の返還について
相手方との任意協議の結果、市から土地売却に係る支払い代金の返還及び損害賠償金を支払うこと、相手方から土地の抹消登記に必要な書類を市に提出すること、このほか互いに債権債務のないことを確認し、手続きを進めることとしました。
(2)与野駅西口土地区画整理事業地内における市有地について
令和6年6月28日記者発表の報告書において、与野駅西口土地区画整理事業地内の市有地全27画地について、調査確認を行った結果、市有地の貸し出しについて、市として手続き上改善すべき点があるものが4件あることを報告しました。内訳として、「土地区画整理事業地区内の施行者管理地使用許可事務取扱要領」(以下「事務取扱要領」という。)に基づく使用許可手続とすべきものが2件、覚書に基づくものから事務取扱要領に基づく使用許可手続とすべきものが1件、代替え補償の必要がなくなったことから、終了手続を行うべきものが1件でした。
これらの4件について、貸し出し先の相手方と改善に向けた協議を実施し、事務取扱要領に基づく使用許可手続へと見直したものが2件、貸し出しを終了する方向としたものが1件、終了手続を行ったものが1件となりました。
調査検討会議の調査の過程で課題として捉えた組織体制、財産管理及び公印管理の3つの観点から再発防止の検討を行い、また、外部有識者から意見をいただき、17項目の具体的な再発防止策を取りまとめました。なお、17項目の再発防止策のうち、外部有識者から13項目の意見や提案があり、再発防止策にこれらの意見等を反映させました。
1 組織体制
(1)区画整理事業をはじめとする都市局内業務体制の見直し
・区画整理事業をはじめ都市局各所管において、業務の複数担当制などの孤立化防止やチェック機能強化を図る。(令和6年5月から実施)
・事業のスクラップ&ビルド等による効率的な業務体制の構築、機能的で実践的な組織の再編を検討する。(令和6年6月から実施)
(2)都市局における情報共有の強化
・局内や部内における本庁・事務所間の連絡体制を強化し、横断的な情報共有を推進する。(令和6年5月から実施)
(3)都市局における土地売却手続の見える化
・土地売却に係る事務手続きフローを整理するとともに、都市局に審査会を設置し定期的に開催する。(令和6年10月から試行実施)
(4)決裁によるチェック体制の強化
・決裁ラインにおけるチェック体制が適正に機能しているか等を点検し、事務処理上のリスクの把握や事務処理方法の見直しの要否を検討する機会をつくる。(令和6年8月に実施済)
(5)内部統制の強化
・ 適正な事務執行を確保するため、内部統制評価部局によるモニタリングを強化するとともに、局区を単位とした内部統制体制の充実を図る。(令和6年12月から実施)
・不正に係る情報の提供による「不正の早期発見」「不正行為の抑止」を図るため内部通報制度の周知強化を行う。(令和6年12月に庁内情報誌において実施)
(6) 職場におけるコンプライアンスの推進
・コンプライアンスリーダーを中心とした職場内のコンプライアンスの推進を図るため、S-knowledge(庁内情報共有・学習システム)を活用したコンプライアンスリーダー研修を実施する。(令和6年12月に実施)
・職員のコンプライアンス意識の啓発・維持・向上を目的として、S-knowledge(庁内情報共有・学習システム)を活用したコンプライアンス研修を実施する。(令和6年12月に実施)
(7)マネジメント力向上研修の実施
・リスク管理に着目した職場でのマネジメント力を向上させ、不祥事や事故を起こさせない職場風土の醸成を図るため、人材育成責任者(所属長)を対象にマネジメント力向上研修を実施する。(令和6年11月に実施)
2 財産管理
(1)財政局との事前相談、事前協議に係る事務手続の見直し
・所管局長が行う財政局長への事前協議が迅速かつ円滑に進められるよう、その前段階としての事前相談において、相談票を導入し、相談内容・想定スケジュール等を明確化する。(令和6年11月から実施)
・所管局長が行う財政局長への事前協議の適正化を図るため、「公有財産事務の事前協議について(平成13年財政部長通知)」において、事前協議期間を14日以内とし、財政局長は協議期間内に文書回答を行うことを明示する。(令和6年11月から実施)
(2)土地売払いの契約締結時の財政局長合議の実施
・さいたま市財産規則(平成13年さいたま市規則第68号)を改正し、各局等が行う土地の売払いの契約締結の決裁時に、財政局長に合議を行い、財政局において土地の売払いに係る事務手続が適正に行われているかの確認を実施する。(令和6年11月から実施)
・上記の合議を行う際には、事前協議等の必要な事務手続に漏れがないことを確認するチェックシート及び決裁関係資料を添付する。(令和6年11月から実施)
(3)さいたま市財産評価委員会の諮問省略要件の見直し
・事務手続を厳格化するため、さいたま市財産評価委員会の諮問省略要件のうち、「1件1,000平方メートル未満の土地の取得の場合」及び「1件300平方メートル未満の土地の処分の場合」の面積要件を撤廃する。(令和7年4月から実施)
(4)歳入予算科目設定時等の所管課・財政課・資産経営課の情報共有
・土地売払い等の事案に係る歳入科目設定時及び歳入予算要求時に、所管課は、資産経営課との事前協議結果等を財政課に提出し、財政課はその内容を確認する。(令和7年度予算要求基準及び留意事項において実施済)
(5)財産管理に係る研修の実施
・財産管理主任及び公有財産を所管する課所等の職員(以下「財産管理職員」という。)を対象に、公有財産の意義や分類、管理、処分に関する留意事項をまとめた財産管理の基本的なマニュアルに関する研修を実施し、財産管理に関する理解を深める。(令和6年8月に実施済)
(6)不動産公売に係るマニュアルの整備
・既存の「不動産公売について」のマニュアルに事務手続の流れを明確にしたフロー図を加える等の改定を行い、各局等に周知するとともに、財産管理職員を対象に研修を実施し、適正な不動産公売の事務手続に関する理解を深める。(令和6年11月から実施)
3 公印の管理
(1)公印管理の責任者の明確化
・公印の出し入れや業務時間中の公印の管理は公印保管者(所属長)及び公印取扱者(所属長から指名された者)が行うこととし、公印規則に規定されている管理の責任を改めて明確にする。(令和6年6月に実施済)
(2)公印使用時のルールの徹底
・公印の使用承認を受けなければ押印できないよう、使用時以外は印箱を施錠できる場所に保管する。(令和6年8月に実施済)
・使用する際は原則として公印保管者又は公印取扱者が押印するよう見直す。(令和6年11月から実施)
・適正な文書であるかを確認するため、公印の承認は起案者以外の公印保管者又は公印取扱者が行うことを徹底する。(令和6年8月に実施済)
(3)公印使用簿作成の義務付け
・原則として、公印を押印しようとする文書の施行については、決裁済みでなければ公印を使用することができないことから、公印保管者又は公印取扱者が使用承認する際に、決裁文書と施行文書を照合した記録を残すため、公印規則を改正し公印使用簿の作成を義務付ける。(令和6年11月から実施)
(4) 公印管理に関する研修の実施
・公印保管者、公印取扱者、公印を使用する全ての職員を対象にS-knowledge(庁内情報共有・学習システム)を活用し、公印の意義、管理体制及び使用方法等に関する「公印事務研修」を実施し、公印規則に則った事務処理の徹底を促す。(令和6年8月に実施済)
調査検討会議では、関係文書の調査や関係職員のヒアリング調査から得られた情報等をもとに、外部有識者の意見を聴きながら、検証した事実経過を一定の結論としました。 捜査の進展等によって新たな事実関係が発覚した場合などには、速やかに調査検討会議による更なる検証を行うほか、第三者委員会の設置を検討するなど、再発防止策の見直しを含め市民の皆様からの信頼回復に取り組んでまいります。
法務・コンプライアンス課
課長:佐伯
担当:米川、須田
電話:048-829-1856
内線:2342
※令和6年12月23日、関連ダウンロードファイルの「与野駅西口土地区画整理事業地内の市有地売却に係る不適正な事務処理に関する報告書」15ページに記載の「調査検討会議による関係者へのヒアリング」の実施日に誤りがありましたので修正しました。
誤:令和6年10月1日
正:令和6年9月30日
総務局/総務部/法務・コンプライアンス課 コンプライアンス推進係
電話番号:048-829-1856 ファックス:048-829-1983