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更新日付:2024年9月11日 / ページ番号:C114698
発掘調査の最新の様子をご紹介します。
令和6年度の発掘調査は、令和5年度調査の続きです。
令和5年度の発掘調査の様子は、こちらからご確認ください。国指定史跡真福寺貝塚 調査最前線 2023
令和5年度からの調査区をさらに掘り進め、いよいよ泥炭層遺跡の核心部分に迫ります。
本調査は、考古学をはじめとする各分野の専門家からのご協力を仰ぎ、令和5年度と令和6年度の2ヵ年計画で推進します。
以下、 直近の真福寺貝塚の様子です!随時更新予定。
現在も調査区東側斜面部を調査中です。
斜面の上方と下方で遺物のまとまりがあり、特に下方では多量の土器片が集積しています。今日は、斜面下方の遺物を取り上げました。
斜面下方では、少し珍しい遺物が出土しています。
一つは下写真の注口土器です(左写真の黄色の枠の中)。
注口土器とは、土瓶のように注ぎ口のついた土器のことです。
今回出土した注口土器は、その大きさが通常のものよりひと回り以上小さく、このような土器は通称ミニチュア土器とも呼ばれます。
内容物を調べるため、泥を落としてみましたが、何も検出されませんでした。また、内面は赤く塗られていました(下写真(右))。
手のひらサイズのかわいらしい大きさです。注ぎ口がついていることから、中に液体を入れて使用したと考えられます。
珍しい遺物の2点目は、前回報告した粘土が詰まった土器です。
この土器はその後の調査によって、人の手で埋設されたものではないことがわかりました。なお、土器は正位の状態を保って出土していると考えていましたが、実際には横倒しの状態であったことがわかりました。
左の写真は上から見た写真で、右の写真は周囲の土を断ち割って真横から見た写真です。右の写真の通り、埋設のための掘り込みは確認できません。
もう一つの珍しい遺物は、斜面に逆らって直立して堆積する土器片です。
この土器片の下に、落ち込み(自然の地形または遺構)が存在するのかもしれません。
今後は、この下に人為的な掘り込みがあるかどうか、留意して調査を進めます。
左の写真は令和6年5月時点の写真で、右の写真が本日の写真です。土器の型式は安行3c式(約2,700年前)です。
現在も調査区東側、斜面部の調査を継続しています。
調査している面は、下写真(左)の暗褐色の土層です。出土土器は依然として安行3c式です。
この層を掘り下げると、下写真(右)のように、やや黄色味を帯びた土層に変化します。
一見して、上下の土層で出土土器に多寡の違いがあるようです。このまま土器片の出土数は落ち着いていくのでしょうか。
暗褐色の土層中から、とても興味深い土器が出土しました。
下の写真(左)の、黄色い枠で囲った中に、垂直に立ち上がった大きめの土器片が確認できます。
この土器の周囲の土を掘り下げ、土器片全体を露出させてみると、深鉢の底部から胴部下半にかけての個体で、底部内面に粘土が詰まっていることがわかりました!(下写真(右))
土器内部の白っぽい部分が粘土です。粘土を保管していたのかもしれません。
この土器は、斜面部で出土したにも関わらず、倒れたりひっくり返ったりしていない状況で出土したことから、人の手によって埋設された可能性が考えられます。今後はこの土器の周囲を精査し、人為的な掘り込みの中に設置されたものなのか、注意しながら取り上げを行います。
下の写真は、暗褐色土層の出土遺物です。
安行3c式土器の破片のほか、土製の耳飾りが出土しました(下写真(右))。
このタイプは、耳に切れ込みを入れてその中に直接はめ込む、ピアスのような使い方をします。耳飾りとしては小ぶりですが、透かし彫りの繊細な細工です。
ぜひ写真をクリックorタップして、拡大してご覧ください!
現在も、調査区東側の斜面部、晩期中葉安行3c式期(約2,700年前)の調査を継続しています。
前回報告した5月17日時点からさらに掘削を続け、土層堆積の単位で2層分の厚みを掘り進めました。
掘り進めるに従い、少しずつではありますが、出土遺物の内容に変化が現れ始めています!
下の写真は、掘削した2層のうち、上層にあたる部分の平面的な出土状況です。
こちらの層は、やはり安行3c式土器が主体となっています。
がおびただしく土器出土しています。主体となる土器は、安行3c式土器です。
次の写真は、掘削した2層のうち、下層に当たる部分の平面的な出土状況です。
こちらの層でも、安行3c式土器が主体ではありますが、上層に比べて安行3b式土器(晩期前葉・2,800年前)がやや増えてきました。
出土遺物の内容が、徐々に、段階的に移り変わっているのかもしれません。
大きさが揃った土器片が多数出土する状況は、上層と相違ありません。ただし、安行3c式土器が多数派を占める中、安行3b式土器も出現し始めています。
遺物内容の変化は、その多寡にかかわらず、何らかの変化や現象の前触れです。この場合は、徐々に土層の年代が古くなりつつある、ということです。注意して調査を進めます。
また、下層からは遮光器土偶の腕部が出土しました!(下写真の丸囲み)
遮光器土偶というと、北極圏の先住民族が使用するスリット入りの眼鏡(遮光器)の形態によく似た、特徴的な目元の表現で知られています。
縄文の有名な土偶の1つとして、見たことがある人も多いのではないでしょうか。
欲をいえば全身揃った完形品が見たいところですが、せめて頭部だけでも出土してくれると、とても嬉しいです!!
現在も調査区東側の斜面部を掘り進めています。
斜面下方を中心に土器が散らばっています。土器の型式は、晩期中葉安行3c式(約2,700年前)です。
大小の土器片が、斜面下部に向かって溜まるように堆積しています。
昨年度末から出土している漆の塗膜片は、下写真(左)の黄色の線で示した範囲から出土しています。
多いときは1日40点以上出土しており、現在は計150点近く出土しました。
この部分から集中して出土していることは確かですが、ある一点を中心として分布しているわけではなく、散漫な状態で分布しています。
先月は籃胎漆器(らんたいしっき)の口縁部の破片が出ましたが、それ以外に器物の種類がわかるようなものは出ていません。
また、現在調査している層には、焼けていない動物の骨が多く含まれています。
これらは非常にもろく、取り上げが困難です。中には10cmを超える大きい破片もありますが、取り上げられたのは、下写真を含め、ほんのわずかでした。
左の写真はほとんど原形を留めていませんが、真ん中と右の写真は細長く丸みを帯びた形が残っています。ニホンジカやイノシシといった、哺乳類の四肢骨かもしれません。
本日より、令和6年度の発掘調査を開始しました!
3月29日で令和5年度の調査を終了しており、調査区内は今日まで水没保存させていました。まずは、調査区内の排水作業からスタートです。
水没保存中の調査区(左)と排水後の調査区(右)。排水に丸一日かかりました。
現在は、主に晩期中葉安行3c式土器が出土する、斜面部の堆積層を調査しています。
前回までの調査の詳細は、国指定史跡真福寺貝塚 調査最前線 2023をご確認ください!!
3月の調査で、漆の塗膜片が出土していることをご報告しましたが、本日の排水作業の最中、同じ場所でまたもや漆の塗膜片が、5点見つかりました。
左の写真は、出土地点を黄色の線で囲っています。右は出土状況の拡大写真。
やはり近くに漆製品があるのだと、調査メンバー一同そわそわしていたところ、とうとう大きさ5cm程度の籃胎漆器(らんたいしっき)片を確認しました!(下写真(左・中))
籃胎漆器とは、薄く裂いた竹や植物の蔓を用いて編んだ籠に、漆を施した製品のことです。
大正時代の調査と令和3年度の調査でも出土しており、真福寺貝塚における3点目の発見例です。ちなみに令和3年度の調査は、本調査区北側の泥炭層のほとり部分で行われました。
この籃胎漆器を取り上げて確認したところ、口縁部の破片であることがわかりました。
編み籠の製作技法や素材となった植物の種類がわかるかもしれません。非常に重要な資料です。
引き続き斜面部の調査を進めて参ります!
毎年、真福寺貝塚では、最新の発掘調査状況や出土品を、現地で見学していただく機会を設けております。
調査現場のナマの状況を、担当職員の解説をまじえながら、皆さまに見て・聞いて・感じていただく、年に一度のイベントです。
史跡としての整備はこれからで、まだまだ発展途上の真福寺貝塚ではありますが、このイベントを通じて、皆さまが求める史跡・真福寺貝塚の在り方を模索していきたいと考えております。
今年度も例年どおり開催予定です!ぜひご参加ください!!
日程は以下のとおりです。
11月16日(土曜日) 小雨決行
午前の部:10時から11時30分
午後の部:13時30分から15時
※午前・午後ともに同じ内容です。各部時間帯のうち、ご都合のつく時間にお越しください。
先着順で30人程度のグループごとにご案内いたします。
例年ご好評いただいていることから、ご案内までに多少待ち時間が発生する可能性がございます。お時間に余裕をもってお越しください。
今年も真福寺貝塚でお会いしましょう!
教育委員会事務局/生涯学習部/文化財保護課
電話番号:048-829-1723 ファックス:048-829-1989