背景・目的
さいたま市の高齢者(65歳以上)は30万人を超えており、バス停や生活に必要な施設等までアクセスすることが困難な高齢者が今後増加していくことが見込まれます。
一方、生産年齢人口の減少や働き方改革によるドライバー不足、人件費・燃料費の高騰による収支採算性の悪化などにより、従来型の公共交通サービスの維持が困難な状況となっています。
さいたま市では、デマンド交通のほか、福祉有償運送やボランティア輸送等の様々な交通モードの導入を検討しています。
令和7年度では、地域主体の共助の取り組みの一環として「グリーンスローモビリティ※」の実現可能性、持続性、効果等を確認・検証しました。
※グリーンスローモビリティ:時速20km未満で公道を走行することができる電動車を活用した移動サービスの総称
これまでの経緯
実証実験概要
| 対象地域 |
さいたま市浦和区北浦和・針ヶ谷地区(高齢者人口密度やボランティア参加意識調査等を基に選定) |
| 運行時間 |
10時から15時(平日)
約30分に1便程度の頻度で運行(定時定路線で1日あたり7便から8便) |
| 対象者 |
主に地域の方を対象とするが利用者限定なし(自力で乗降可能な方を対象) |
| 運賃 |
無料 |
| 予約 |
なし(座席定員制5名まで) |
| 乗車人員 |
運転手:市が委託
地域サポーター(車両に同乗し、運行を補助するスタッフ):自治会員、民生員、地域包括、市役所職員 等 |
| 実証期間 |
1. 東側(針ヶ谷エリア):令和7年10月6日(月曜日)~31日(金曜日)【合計19日】
2. 東側(北浦和エリア):令和7年11月4日(火曜日)~28日(金曜日)【合計18日】
3. 西側エリア :令和7年12月1日(月曜日)~19日(金曜日)【合計15日】 |
| 車両 |
ヤマハ発動機株式会社製 7人乗りカート AR-07:1台 ※詳細はこちら |
| 停留所 |
200から300m間隔を目安に設置 |
| 役割分担 |
市の主な役割:車両・運転手の手配、事務局運営全般
地域の主な役割:地域サポーターの一部担当・手配、会議参加、停留所一部の許可取得 等 |
■実証実験ルート・時刻表
1. 東側(針ヶ谷エリア)
運行ルート:針ヶ谷公民館を起終点とする地区内周回ルート(L=約3.2km)
運行ダイヤ:10時発~15時着 8便/日(午前5便、午後3便)

2. 東側(北浦和エリア)
運行ルート:北浦和公民館を起終点とする地区内周回ルート(L=約2.8km )
運行ダイヤ:10時発~15時着 8便/日(午前5便、午後3便 )
3. 西側エリア
運行ルート:すこやかプラザを起終点とする地区内周回ルート(L=約3.9km )
運行ダイヤ:10時発~15時着 7便/日(午前4便、午後3便 )

■使用車両
| 車両名 |
AR-07(ヤマハ発動機株式会社製) |
| 車両サイズ |
全長3,955mm×全幅1,354mm×全高1,837mm |
| 乗車定員 |
7名(運転手・地域サポーター※除いて利用者は5名定員) |
| 最高速度 |
19km/h |
| エンジン |
EV |
| 主な装備品 |
エンクロージャー(雨風防護用カーテン)、安全ベルト等 |
| 主な特徴 |
低床で乗降しやすい
ドアなしで開放的(車内外のコミュニケーションが取りやすい)
コンパクトで比較的狭い道路でも走行可能 |

写真:ヤマハ発動機株式会社HP
運行準備(ワークショップ・説明会)
ルートや停留所を設定するにあたり、ワークショップを各エリア2回、地域サポーターの説明会を実施しました。
実証後は運行報告会を実施しました。
東側(針ヶ谷エリア)と東側(北浦和エリア)については運行エリアが近接するため、各会同時開催としました。
■第1回東側(針ヶ谷エリア・北浦和エリア)ワークショップ
日時:令和7年7月1日(火曜日)13時から15時
場所:針ヶ谷公民館
参加者数:16名(針ヶ谷エリア12名、北浦和エリア4名)
実施内容:地域課題・移動ニーズの整理、ルート案の意見交換
■第1回西側エリアワークショップ
日時:令和7年7月9日(水曜日)13時30から15時30分
場所:浦和高層団地自治会集会室
参加者数:10名
実施内容:地域課題・移動ニーズの整理、ルート案の意見交換
■第2回東側(針ヶ谷エリア・北浦和エリア)ワークショップ
日時:令和7年8月5日(火曜日)13時30分から15時30分
場所:針ヶ谷公民館
参加者数:15名(針ヶ谷エリア12名、北浦和エリア3名)
実施内容:運行計画の意見交換
■第2回西側エリアワークショップ
日時:令和7年8月6日(水曜日)13時30分から15時30分
場所:浦和高層団地自治会集会室
参加者数:10名
実施内容:運行計画の意見交換
■東側(針ヶ谷エリア・北浦和エリア)地域サポーター説明会
日時:令和7年9月18日(木曜日)13時30分から15時00分
場所:針ヶ谷公民館
参加者数:25名
実施内容:地域サポーターの実施内容説明
■西側エリア地域サポーター説明会
日時:令和7年11月12日(水曜日)13時30分から15時00分
場所:浦和高層団地自治会集会室
参加者数:7名
内容:地域サポーターの実施内容説明
周知活動
■区民祭り
(第23回南区ふるさとふれあいフェア)
日時:令和7年10月4日(土曜日)9時30分から15時
場所:浦和競馬場
実施内容:車両展示(VR体験)、パネル展示・説明
(浦和区民まつり2025・浦和北公園ふれあいまつり)
日時:令和7年11月2日(日曜日)10時から15時
場所:浦和北公園
実施内容:車両展示(VR体験) 、パネル展示・説明
■公民館祭り(針ヶ谷フェスティバル)
日時:令和7年10月18日(土曜日)・19日(日曜日)10時30分から16時
場所:針ヶ谷公民館
実施内容:車両展示(VR体験)、パネル展示・説明 ※北浦和フェスティバルではパネル展示を実施
■他自治会乗車体験会
日時:令和8年1月24日(土曜日)13時から15時
場所:細野自治会館、細野ふれあい広場
対象:細野自治協力会 ほか
実施内容:事業説明、車両試乗、運転体験会
実施結果
■出発式
日時:令和7年10月6日(月曜日)9時30分から9時45分
場所:針ヶ谷公民館
参加者:自治会長、公民館長、社会福祉協議会長、地域支えあい推進委員、浦和区長、さいたま市交通政策部長 ほか
■利用者数
合計998名の方にご乗車いただきました(針ヶ谷エリア451名、北浦和エリア350名、西側エリア197名)。
なお、地域サポーターは、延べ57名の地域の皆さんにご担当いただきました。
■利用目的
「モビリティの試乗」が約半数、次いで「買い物」が約2割という結果となり、日常生活の移動手段としても利用いただくことができました。
※利用者アンケート結果より
■利用して良かった点
利用により、「コミュニケーション」や「外出」のきっかけになったと評価をいただきました。
※利用者アンケート結果より
■総合評価
各エリア約8割の方から「良い・やや良い」と高評価をいただきました。
※利用者アンケート結果より
■東側(針ヶ谷エリア・北浦和エリア)運行報告会
日時:令和8年1月28日(水曜日)10時00分から11時00分
場所:針ヶ谷公民館
参加者数:10名
内容:運行結果の報告
■西側エリア運行報告会
日時:令和8年2月2日(月曜日)13時30分から14時30分
場所:彩の国 すこやかプラザ
参加者数:3名
内容:運行結果の報告
■その他アンケート結果の概要
1.ドライバーアンケート
(良かった点)
・低速での走行であったが、他の車や自転車等に問題になることなく、地域に溶け込めた
・運行を体験することで多くの方と交流でき、地域奉仕となるため達成感や責任感を感じる
・実証実験を継続することで地域の環境の変化に気づくことができ、いち早く問題解決が可能となると思われる
(課題)
・停留所にはカラーコーンの設置など目立つ工夫が必要
・走行中の車両を見かけることや口コミで実証実験を認知する方が多かったため、実証実験を継続することが有効
・ハンドルのパワーステアリングがないため発車時のハンドルが重かった
・風や雨を避ける場合にはドア型の車両の方が良い
・ドアがないオープンな車両のため、特に交差点での走行に注意を払った
2.地域サポーターアンケート
(良かった点)
・坂道が多く高齢者が歩くのが大変な地域などに需要を感じた
・高齢者の買物(帰りは荷物が重い)には必要だと感じた
・風を感じながら気持ちよく乗ることができた
・車内外の楽しい会話が自然に始まり、よても良いコミュニケーションと癒しの空間となるマジックです
・地域にグリスロが走っていたら嬉しい
・地域の空気感の向上に役立つと思います
(課題)
・運転手や地域サポーターの担い手確保が課題になると思う
・地域の負担が大きい
・必要な方に使っていただけるような周知方法が必要
・今後計画を進めるには路線や車両の見直しが必要
・万が一事故が起きた場合の保険が絶対必要
・せめて屋根、ボディ周りのしっかりした乗り物でないと安心できない
・とにかく寒かった、暑さ、寒さ対策がないと車内のコミュニケ―ションは難しい
3.ワークショップ参加者(運営者)アンケート
(良かった点)
・今回の取り組みについて、「満足・やや満足」は約8割
・今後続けていけることを期待しています
(課題)
・運営を地域が担う際の負担内容は事前に周知すべき(特に運転手の負担は大きい)
・実証実験で終わらせないよう努めていただきたい
・地域住民の意識改革も大切
・寒さ対策が必要
4.イベント(浦和区・南区区民祭り)アンケート
・主な移動手段は「自転車」は約6割、「徒歩」は約5割、「車(自身で運転)」は約4割
・グリスロを使ったボランティア輸送への参加意向は「参加したい(運転・運転以外)」は約5割
・路線バスが運行していないエリアではグリスロの需要があると思う
令和7年度実証実験の委託概要
業務名:令和7年度グリーンスローモビリティ実証実験等外出促進検討業務
受託者:令和7年度グリーンスローモビリティ実証実験等外出促進検討業務 復建調査設計・サーベイリサーチセンター特定共同企業体
執行額:22,363千円(うち、グリーンスローモビリティ実証実験は約14,000千円)
工期:令和7年5月16日(金曜日)から令和8年3月27日(金曜日)
入札方式:公募型プロポーザル方式
業務内容:グリーンスローモビリティ実証実験、(仮称)再構築ガイドライン検討、AIデマンド交通実証実験
令和8年度に向けて
持続可能な交通手段の確保に向けて、令和8年度では運転手の手配も含めて主体的に事業運営を担っていただける地域を公募することとなりました。