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更新日付:2025年2月4日 / ページ番号:C119171

令和7年度施政方針

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令和7年2月4日開会の令和7年さいたま市議会2月定例会において、清水勇人市長が施政方針演説を行い、令和7年度の市政運営の基本的な考え方や主要な施策等について、説明を行いました。
その全文は、以下のとおりです。
※議場に配布した施政方針(冊子)のPDF版は、こちらからご覧ください。

令和7年度施政方針

議員各位には、平素から市政運営に御支援を頂き、心から感謝を申し上げます。
本日ここに、新年度に臨む私の所信及び市政の基本方針を申し上げ、議員各位及び市民の皆様の御理解と御協力を賜りたいと存じます。

1 はじめに

「さいたま市をひとつに」
「市民がしあわせを実感できる絆で結ばれたさいたま市をつくりたい」
「持続的な成長、選ばれる都市へと発展させる」
日本は今、深刻な人口減少に直面し、多くの自治体が存亡の危機に陥っている中、私は、平成21年5月の就任以来、こうした思いで、一心不乱に市政の舵取りに当たってまいりました。
人口減少局面を少しでも先に延ばすこと。急激な少子高齢化をできるだけゆるやかなトレンドにしていくこと。これらを意識して様々な施策に取り組んでまいりました。
昨年、本市は人口135万人を突破しました。平成21年から13万人の増加です。
0歳から14歳までの子どもの転入超過数も、9年連続で全国第1位を記録しました。
令和5年に国立社会保障・人口問題研究所が発表した推計人口では、本市の人口のピークを5年程度先送りにすることができました。また、2050年時点で2020年より人口が増える指定都市は3市しかありませんが、その1つとなることができました。
しかし、本市にも、いずれは人口減少局面が訪れます。
その時に、本市が、更に先の10年、20年も、希望にあふれ、持続可能な成長を遂げていけるようにする。それが、私の責務だと思っております。
私はこの16年間、総合振興計画など多くの計画を策定し、未来に向けた基盤づくりに全力で取り組んでまいりましたので、振り返りたいと思います。
振り返り:計画推進の着実な成果
子ども・子育ての分野では、「子育て楽しいさいたま市」を掲げ、親子の絆を深める子育て支援を充実させるとともに、若い世代が希望を持って暮らし、未来を担う子どもたちを安心して産み育てることができる環境の整備に努めてまいりました。
妊産婦や子育て家庭に対する切れ目ない支援はもちろん、質の高い多様な保育の受け皿の確保も欠かせません。そのため、認可保育所等について、平成21年から令和6年までの間に、定員を3倍の約3万1千人へと増やすなど、大幅に整備するとともに、本市独自の「子育て支援型幼稚園」についても、延べ57園認定しました。また、給与の上乗せ補助や家賃補助など保育人材の処遇改善にも力を入れてまいりました。
本市は、保育施設の待機児童ゼロを3年連続で達成しましたが、背景には、こうした地道な積み重ねがあったからです。
また、放課後の待機児童対策も着実に進めております。放課後児童クラブについて、平成21年から令和6年までの間に、定員数を2倍の約1万3千人へと増やすとともに、昨年からは、早期に待機児童ゼロを実現しようと放課後子ども居場所事業のモデル事業も4校で開始しました。道半ばではありますが、平成27年から昨年までの間に、待機児童数を半減させました。
教育の分野では、日本一の教育都市を実現するための取組を進めてまいりました。
平成28年には、グローバル化への対応として、本市独自の「グローバル・スタディ」を全ての市立小中学校の全学年に導入しました。その結果、文部科学省の調査において、英検3級以上に相当する中学3年生の割合が、平成30年度から5回連続で全国第1位となり、令和5年度には88.4%と、全国平均を大きく上回りました。同年の全国学力学習状況調査でも第1位となるなど、成果が現れております。
また、地域社会の構造が大きく変化する中、学校と家庭、地域をつなぐ必要性が高まっております。本市では、平成24年に全ての市立小中学校にチャレンジスクールを導入し、さらに、地域や保護者等の皆様が学校運営に参画するコミュニティ・スクールを、令和4年に全ての市立学校で導入しました。
そして、誰一人取り残さない教育の実現のために、全ての市立小中学校に特別支援学級を設置するとともに、平成24年には肢体不自由児のための「さくら草特別支援学校」を開校し、令和5年には「ひまわり特別支援学校」に知的障害児のための高等部を開設しました。
福祉の分野では、誰もが生涯にわたって、自分らしく暮らせる地域共生社会の構築に取り組んでまいりました。
平成24年に「安心長生き条例」を制定するなど、健康で長生きしていただくための施策の充実、また、いざという時の医療と介護の充実にも努めてまいりました。本市では、セカンドライフ支援、シルバーポイント等の事業を展開し、シニアの方の元気と長生きを応援してまいりました。シルバーポイントは昨年3月時点で約5万人と、多くの方に御利用いただいております。
さらに、多くの高齢者の皆様に社会の一員として御活躍し続けていただくため、令和5年には、認知症の方や認知症サポーターなどによる「チームオレンジ」の取組もスタートしました。
また、平成23年に「ノーマライゼーション条例」、令和4年に「ケアラー支援条例」を、指定都市で初めて制定しました。これらに基づき、障害のある方でも安心して暮らせる社会の実現に向けた取組や、ケアラー・ヤングケアラーを社会全体で支える取組などを推進してまいりました。
健康・スポーツの分野では、1期目の就任後、「さいたま市スポーツ振興まちづくり条例」を指定都市で初めて制定し、「スポーツのまち さいたま」の実現に向けて取り組んでまいりました。
「スポーツを、観光、交流人口の拡大など地域活性化につなげていきたい」
私は、その思いを推進するエンジンとして平成23年に「さいたまスポーツコミッション」を全国で初めて設立しました。それ以降、自転車やマラソン、ウォーキングなど、世代を問わず気軽にできるスポーツなどと地域活動を融合させた魅力あるシンボル的なイベントを多数展開してきました。スポーツコミッションによる令和5年度までの経済効果は、984億円に上ります。
この3つのスポーツを中心とした取組が功を奏し、週1回以上スポーツをする市民の割合は、平成22年の39.7%から令和5年の70.8%へと増大しました。また、スポーツ・レクリエーションを目的に本市の施設を訪れる入込観光客数は、令和5年度で675万人となりました。
中でも、平成25年から、「ツール・ド・フランス」の名を冠した世界初となる大会「さいたまクリテリウム」を10回開催し、第9回までの経済効果は、261億円となっております。市内外の多くの方にお楽しみいただけていることは、本市のブランド化につながっていると自負しております。
コミュニティ・人権・多文化共生の分野では、誰もが絆で結ばれた地域社会の実現に向けて取り組んでまいりました。
市制施行20周年の際には、市制がスタートした5月1日を「さいたま市民の日」と定め、「さいたま市民憲章」を制定しました。加えて自治会の加入促進や運営補助等に力を入れてきたほか、区制施行20周年の際には、記念事業を各地で展開しました。市民の皆様が、郷土意識や地域の絆を再認識していただく機会になったと感じております。
また、令和2年から「さいたま市パートナーシップ宣誓制度」、令和4年から「ファミリーシップ制度」を開始しました。これらの制度を利用した方が市営住宅を申し込むことなどを可能としたほか、転出後も、宣誓の効果を継続できるよう、これまで県内外211自治体と連携しております。
そして、令和5年には、水道分野の技術協力を行うラオス国を12年ぶりに訪問し、水道分野の国際協力の強化に関する覚書を締結しました。
生活安全の分野では、安全・安心な生活環境の実現に向けて取り組んでまいりました。
事故データを分析し、高齢者や子どもにとって危険な場所などを把握し共有することで、事故を減らす取組を進めてまいりました。これが評価され、令和元年に、「セーフコミュニティ」の国際認証を、指定都市全域としては全国で初めて取得しました。
防犯については、自主防犯活動を行う団体の拡大を進め、平成21年から令和5年までの間に144団体増加し、刑法犯認知件数も、平成21年と令和5年を比べると55%減少しました。
防災の分野では、災害に強い都市の構築に取り組んでまいりました。
東日本大震災や令和元年東日本台風の際には、本市も甚大な被害を受け、多くの市民の皆様が大変な思いをされました。当時の光景は、私の心に深く刻まれており、忘れることはできません。
昨年には能登半島地震や日向灘地震が発生しました。首都直下地震のリスクもあります。
東日本大震災の教訓を踏まえ、平成24年度から、帰宅困難者一斉帰宅の抑制対策を市内企業とも連携しながら推進し、防災都市づくり計画の策定や、防災機能を持った公園の拡充、マンホールトイレの設置など、災害に強い都市づくりを進めてまいりました。
豪雨災害も年々、激甚化・頻発化しているため、河川流域の治水安全度の向上は喫緊の課題です。令和4年には油面川排水機場を、令和5年には岩槻諏訪公園調整池を、それぞれ供用開始し、浸水被害の軽減を図ってまいりました。
また、災害時の緊急輸送道路ネットワークの強化のため、国道122号蓮田岩槻バイパス、道場三室線など幹線道路の整備を推進してまいりました。
そして、地域内の助け合いによる「共助」を高めていくことも重要です。地域防災を支える「防災アドバイザー」の育成に力を入れ、自主防災組織の結成率も、平成22年の85.6%から、昨年には93%へと高めることができました。
また、新型コロナウイルス感染症は、正に災害級の出来事でした。国や県の財政支援を最大限活用するとともに、できるだけ多くの方の命を守るため、市独自の支援策もスピード感をもって展開し、感染拡大の防止、医療提供体制の確保、市民生活や経済活動への影響の最小化、活力の回復に取り組みました。
文化の分野では、平成23年に「さいたま市文化芸術都市創造条例」を制定し、伝統文化の継承と新しい文化の創造に力を注いでまいりました。
世界の盆栽の聖地がある本市にとって盆栽文化は宝です。その魅力を広く内外に発信するため、平成22年には、公立初の大宮盆栽美術館を開館しました。また、平成29年には、世界盆栽大会を本市で開催し、約12万人の方に御来場いただきました。今や盆栽は世界の人々に愛され、外国人観光客を始め多くの方に大宮盆栽村を訪れていただいております。
また、人形など岩槻の地域資源を発信するため、令和2年に、岩槻人形博物館とにぎわい交流館いわつきを開館しました。昨年は、「高橋まゆみ人形展」が開催され、市内はもとより、県内外からも多くの方に御来館いただき、期間中の来館者数は例年を大きく上回る約1万9千人となりました。
平成28年から開催している国際芸術祭は、令和5年に3回目を開催し、市内外から、過去最多となる約49万人に御参加いただきました。また、日本最大級のアートメディアが発表した、過去20年間の全国展覧会ランキングにおいて、平成28年の回が第2位、令和5年の回が第4位に選出されるなど、高い評価を頂きました。
環境の分野では、環境負荷の少ない持続可能な社会の実現が喫緊の課題です。平成21年から「E-KIZUNA Project」を推進し、公用車への次世代自動車の率先導入、公共施設への急速充電器の設置に取り組みました。
また、令和2年には、2050年までに「ゼロカーボンシティ」を目指すことを表明しました。それに向けて、公共施設への太陽光発電や蓄電池の導入、ZEB化やLED化の推進などに取り組みました。
その結果、市内の温室効果ガス排出量は、平成25年度から令和3年度までの間に18.2%削減できました。
また、昨年は、COP29に参加し、本市として「E-KIZUNA High-Level Talks」を主催し、気候変動における自治体の役割や連携の重要性について共有しました。
循環型都市の創造に向けては、食品ロスやプラスチックごみなどの効果的な減量施策を、市民・事業者・行政が連携しながら進めてまいりました。
また、見沼田圃の保全と新たな活用・創造を推進するため、桜回廊を活用した地域のにぎわい創出、生物多様性の保全など、アクションプランの着実な推進を図ってまいりました。
都市インフラの分野では、更なる人口減少や高齢化を見据え、都市機能の集約化を図るとともに、それぞれの地域特性を踏まえた都市基盤整備を進める必要があります。
そのため、地域の方とともに2都心4副都心における計画的なまちづくりを着実に進めてまいりました。
都市公園についても、防災機能を備えたさいたま新都心公園を始め、平成21年度から令和5年度までの間に142か所開設するなど、着実に整備してまいりました。
広域的な交通ネットワークの形成に向けては、新大宮上尾道路の整備促進や、地下鉄7号線延伸などに取り組んでまいりました。
新庁舎整備については、本市誕生以来、残された大変重要な課題であり、就任以来、全力で取り組んでまいりました。
令和4年には、多くの皆様の御協力の末、本庁舎のさいたま新都心での整備が決定し、輝かしい未来に向けた大きな一歩を踏み出しました。
経済・産業の分野では、本市の「交通の結節点」という強みを生かして、都市間連携による地方創生を図るため、東日本連携・創生フォーラムを平成27年から定期的に開催し、参加自治体数も当初の17から30へと倍増しました。拠点となる「まるまるひがしにほん」の年間来館者数も年々増加し、令和5年度には 106万人に達しました。
こうした本市の特性を生かして、戦略的な企業誘致活動も積極的に展開し、平成17年度から令和5年度までの間に233社を誘致しました。市内の先進的な技術を有するものづくり企業に対しては、リーディングエッジ企業認証支援事業を創設し、オーダーメイド型の支援を行うとともに、産業創造財団や大学と連携した支援を行ってまいりました。
さらに、医療ものづくり都市構想を策定し、市内企業の医療・ヘルスケア機器関連分野への新規参入・事業拡大を支援してまいりました。
農業においては、紅赤やくわい、ヨーロッパ野菜等の6次産業化やブランド化に向けた取組などを推進してまいりました。
質の高い都市経営の実現においては、きめ細かな市民サービスを提供するための取組を進めてまいりました。
まず、市政の最前線基地である区役所の改革です。平成21年には、市民の皆様が抱える問題を速やかに解決するための組織として「くらし応援室」を全区役所に設置しました。平成25年には、区の独自性・裁量が発揮できるよう、組織編成と人事配置に関する発案権や予算要求権を付与するなど、機能・権限の拡充を図ってまいりました。令和4年には「子ども家庭総合支援拠点」、「福祉まるごと相談窓口」、「おくやみ窓口」を、全ての区役所に開設しました。その結果、令和5年の区役所の窓口満足度アンケート調査では97.1%の方が満足していると回答しております。
また、行財政改革については、「見える改革」、「生む改革」、「人の改革」の3つの視点から進めてまいりました。
「見える改革」では、情報公開制度の拡充や市民参画を進めてまいりました。その結果、市民オンブズマンの情報公開ランキングでは、指定都市の中で平成21年度の最下位から平成24年度には第1位へと飛躍しました。
「生む改革」では、行政サービスの質を高めつつ、事業見直しによるコスト削減や積極的な自主財源の確保などに取り組んでまいりました。その結果、平成22年度から令和5年度までの間に約2,100億円の財政的効果を生み出しました。
「人の改革」では、市民サービスの質を高め市民満足度の高い市役所を構築するために、職員の意識改革に取り組み、平成28年度以降は毎年1万5千件を超える事務の改善がなされるなど、日常的に改善・改革が行われる組織風土づくりが進みました。働きがいを感じている職員の割合は、平成22年度の64%から、令和6年度の74.7%へと向上しています。
DXについては、市民の皆様の利便性向上や効果的・効率的な行政の実現に向け、「さいたまデジタル八策」を策定し、窓口手続のオンライン化の拡充を図るほか、市民一人ひとりに合った情報提供などを進めてまいりました。
(成果に対する市内外からの評価)
この16年間の取組の結果、市民意識調査では、「住みやすい」「住み続けたい」と答えた方の割合が、5年連続で85%を超え、特に「住み続けたい」と答えた方の割合は令和6年度調査で過去最高の87.2%を記録しました。
また、子どもの転入者数が多いことからも、子育て世代を中心に「選ばれる都市」となっております。
昨年公表された幸福度ランキングでは、指定都市中、総合第1位を獲得しました。平成28年以来、常に上位にいましたが、4年振りに第1位に返り咲きました。
先日、SDGs先進度調査が公表され、全国815市区中第4位となりました。3回連続第1位とはなりませんでしたが、引き続き、全国トップレベルの評価を頂きました。
そして、非常に多岐にわたる取組を進めながらも、指定都市の中で、本市の財政力指数は3番目に高く、市民一人当たりの市債残高は2番目に低いなど、健全財政を維持しています。
本市が、今日このように発展を遂げてまいりましたのも、多くの先達の御努力と、議員各位、市民・事業者・団体の皆様が、ともに汗をかき、力を尽くしてくださったことの賜物にほかなりません。皆様の御尽力に、心から感謝を申し上げます。

2 さいたま市の新時代に向けて

こうして発展してきた本市においても、冒頭申し上げたとおり、将来的には、人口減少局面が訪れ、高齢化が一層進行し、市民の皆様の暮らしに様々な影響が生ずることが予想されます。
人口減少や高齢化は、食い止めることが難しい課題です。しかし、私は、それをできる限り先送りし、ペースも緩やかにするための取組を粘り強く進めることで、本市を誰もが未来に希望を描ける都市へと更にシンカさせていきます。
そのためには、次の4つに取り組むことが重要です。まず、魅力や強みを更に伸ばすことで、さいたま市らしさを一層発揮し、選ばれる都市であり続けることです。次に、誰一人取り残さず、誰もが住みやすく、かつ持続可能な地域社会を創造していくこと。そして、自然災害に適切に対処し、それを克服していく強靭さを備えていくこと。最後に、新たな時代に対応する市役所に進化していくことです。
(選ばれる都市として、新たなさいたま市の創造)
本市が「選ばれる都市」であり続けるためには、社会経済情勢の変化を的確に捉え、新たなニーズに対応し、シンカをし続けていく必要があります。そのためには、環境、健康、スポーツ、教育、交通の要衝、災害に強いなど本市の魅力や強みを更に磨き上げ、さいたま市のブランド力を高めていく必要があります。
(誰一人取り残さず、誰もが住みやすく持続可能な地域社会の実現)
次に、誰もが希望を描けるようにするためには、「誰一人取り残さない」というSDGsの理念を追求していく必要があります。様々な困難に直面されている方へのセーフティネットの確保、そして、一人ひとりのニーズやライフスタイルが尊重された、誰もが自分らしく生きられる地域共生社会の実現に向けて、更なる施策を展開してまいります。
(真に災害に強いレジリエントシティの実現)
続いて、首都直下地震などの自然災害に適切に対処し、それを克服していく強靭さを備えていくことも必要です。インフラの耐震性や治水対策、消防・救急体制の強化や配慮を要する方の避難体制の確保など、ハード・ソフト一体となった防災・減災対策を一層進めてまいります。
(新たな時代に対応する市役所の創造)
最後に、新たな時代に対応するためには市役所の進化も必要です。DXを更に推進し、行政サービスの向上と業務の効率化に取り組むことで、よりスピーディーで利便性の高い行政サービスを提供してまいります。
併せて、多様な働き方に向けた取組も一層推進し、職員も市民も幸せになる「Well-being(しあわせ)経営」に取り組んでまいります。
そして、企業、大学等とこれまで以上に連携し、様々な分野で公民学共創を実現してまいります。

3 令和7年度予算案の概要
-誰もが希望(ゆめ)ある未来へ、更にシンカ!-

令和7年度当初予算につきましては、ただいま申し上げた基本的な考え方の下、市民の誰もが未来へ向かって希望を描けるよう、本市の更なるシンカに取り組む予算として編成しました。
予算編成に当たっては、新時代を切り拓くさいたま市らしさを深めていくこと、誰一人取り残さない持続可能な地域社会の実現を目指すこと、激甚化する自然災害への対策強化を進めること、そして、DX推進と公民学共創による質の高い市役所の創造を推進することを、4本の柱としました。
その中でも特に、総合的な社会保障施策や子ども・子育て関連施策、ゼロカーボンシティの実現に向けた脱炭素化の取組、DXの推進を重視しております。
また、国の補正予算とも連動しながら、令和6年度12月補正予算から令和7年度当初予算まで、切れ目ない予算としました。
来年度の一般会計当初予算額は対前年度比1.2%減の7,034億円、特別会計予算総額は3,323億円、企業会計予算総額は1,306億円、全会計予算総額は1兆1,663億円であり、一般会計予算額、全会計予算総額ともに過去2番目に大きい予算規模となりました。

4 令和7年度の主な事業等 

それでは、令和7年度の主な事業について、この4本の柱に沿って申し上げます。
(新時代を切り拓くさいたま市らしさの深化)
1本目の柱として、21世紀半ばを見据えた「さいたま市の新時代」に向けて、本市の魅力を深める取組を進めます。
まず、未来に向けたまちづくりです。
新庁舎の整備については、昨年開始した基本設計の策定を着実に進め、新庁舎と併せて整備予定の、市民広場のにぎわい創出につながる取組を行ってまいります。
浦和駅周辺においては、本庁舎移転後の現庁舎地について、利活用計画の策定に向けた検討を更に進めます。また、浦和駅西口南高砂地区の再開発事業や、拡張される駅前広場を中心としたウォーカブルな空間整備等に取り組みます。
「大宮駅グランドセントラルステーション化構想」の実現に向けては、必要な見直しを加えつつ、周辺街区のまちづくりや交通基盤の整備、駅機能の高度化に向けて取り組みます。
また、旧大宮区役所跡地と大宮小学校の一体的な土地活用を図るため、周辺公共施設の機能の導入・集約化の早期実現に向けた実施方針を策定します。
地下鉄7号線の延伸に向けては、技術支援による計画の更なる深度化を行い、早期の事業着手を目指すとともに、中間駅周辺のまちづくりについて面積の拡大に向けた検討を進めます。また、高速鉄道東京7号線整備基金を拡充します。
中央区役所周辺の公共施設の再編、与野中央公園における「(仮称)次世代型スポーツ施設」の整備については、事業者の選定や契約締結等に向けて取り組みます。
武蔵浦和駅周辺地区では、義務教育学校の整備に向けた工事等に着手するほか、「(仮称)武蔵浦和地区新設スポーツ施設」の整備に向けて、基本計画の策定やPFI等導入可能性調査を行います。また、沼影公園屋外プールの代替となる南部エリアレジャープールの具体的な代替地は、市民の皆様の御意見を踏まえながら選定してまいります。
また、グリーンインフラによる緑豊かで潤いのある都市空間を形成するため、市民・事業者等と連携・協力し、緑化滞在空間を創出するとともに、樹木が有する機能の可視化を進め、緑による高質化等に取り組みます。
次に、「ゼロカーボンシティ」の実現に向けた事業です。
昨年発足した「さいたま市ゼロカーボンシティ共創推進プラットフォーム」の下、公民学連携を通じて、市民の行動変容等を含めた温室効果ガスの削減策の検討を進めます。
また、エネルギーの地産地消の推進体制の構築、脱炭素先行地域における再生可能エネルギーの導入拡大等に取り組みます。
さらに、公共施設への太陽光発電設備の導入を推進するほか、ペロブスカイト太陽電池等の先進技術に関する実証実験を行います。
このほか、再生可能エネルギーの導入や、省エネ化を図る機器等の普及に向けて、補助金の交付に限らず、より広く公平に太陽光発電設備の導入を支援する共同購入方式へ転換するなど、市民・事業者を支援します。
次に、持続可能な成長・発展を実現するための事業です。
交通事業者との連携を強化し、シェア型マルチモビリティの拡充・展開を図ってまいります。さらに、新たなモビリティの導入や利用方法等、今後のサービスの在り方も検討してまいります。
また、公民学連携の下、デジタル技術等を活用した生活支援サービスの実装支援等を行うことにより、「スマートシティさいたまモデル」の構築を推進します。
デジタル地域通貨機能を搭載した「さいたま市みんなのアプリ」については、普及促進、さらには、アプリを活用した市民生活支援や各種キャンペーンを通じて、地域経済の活性化、行政サービスの向上等に取り組みます。
次に、本市の強みである文化・芸術・スポーツに関する事業です。
本年は、大宮盆栽村の開村100周年です。大宮盆栽村の認知度向上と、盆栽文化の更なる振興のため、文化と観光経済の両面から様々な記念事業を実施します。大宮盆栽美術館での特別展、大宮駅構内でのPRイベントのほか、大宮盆栽を次の100年へつなげていくため、新たな盆栽ビジネスの創出に向けた取組を行います。
さらに、大阪・関西万博に、大宮の盆栽と岩槻の人形を中心とした催事を出展し、国内外に発信します。
また、スポーツ人材の育成、持続可能なスポーツ環境の整備等の更なる拡充を目指し、「(仮称)さいたまスポーツシューレ推進施設」を整備するため、基本計画の策定等を進めてまいります。
このほか、本市の農業を持続的に発展させる取組として、市内産農産物の直売機能や観光農園等の情報発信機能等を備えた農業交流施設など「(仮称)さいたま市農業交流公園」を、Park-PFIを活用して整備するほか、AI等の先進技術を活用した農業DXの取組等を支援します。
また、オーガニックビレッジ宣言については、有機農業の推進に関する取組内容や方向性を整理し、事業実施の可能性について検討します。
(誰一人取り残さない持続可能な地域社会の実現)
2本目の柱として、「誰一人取り残さない」という理念に基づき、誰もが住みやすく持続可能な地域社会の実現に向けた取組を進めます。
まず、子ども・子育てに関する事業です。
「第3期さいたま子ども・青少年のびのび希望プラン」に基づき、「こどもまんなか社会の実現」や「少子化対策の推進」に向けた取組を強化し、「子育て楽しいさいたま市」を実現します。
こどもまんなか社会の実現に向けては、生後1か月の子を対象とした乳幼児健康診査を新たに実施し、親子の健やかな成長のため、出生後から切れ目のない健康診査体制を構築します。
また、教育環境の充実と子どもたちの居場所確保のため、「Growth」におけるICTを活用した不登校等児童生徒への支援を更に充実させるとともに、本市独自の「学びの多様化学校」の令和8年4月開校に向けて、プレ開校を行うなどの準備を進めます。
また、知的障害のある児童生徒の教育環境を向上させるため、新たな市立特別支援学校の整備を検討してまいります。
さらに、生活困窮世帯の小中学生や高校生等を対象に、基礎学力の向上や大人とふれあう居場所の提供等を目的とした学習支援を引き続き実施するとともに、プレーパークへの支援強化により、子どもたちの居場所の更なる拡充を図ります。
このほか、大宮警察署跡地に、子ども・子育て世帯の視点による公園を整備するため、市民ワークショップ等の開催支援など、子どもや若者を社会全体で支える取組を強化します。
切れ目のない少子化対策・子育て支援の充実に向けては、若年層に対する結婚支援等に取り組むとともに、妊娠・出産期から青年期まで、各ライフステージに応じた子育て支援として、第2子の保育料軽減について、第1子が認可外保育施設に在籍する場合にも適用を拡大します。
また、経済的理由により進学を諦める学生が生まれないよう、基金を活用した受験料等の助成や、ひとり親家庭等の児童、児童養護施設等を退所した児童に対する支援を行い、進学の希望を後押しします。
さらに、昨今の物価高の影響を踏まえ、学校給食用食材への公費負担による支援を継続します。
社会全体で子育てを支える取組について、各種産後ケアは、必要とする方が一層利用しやすくなるよう、サービス提供体制を拡充します。
「こども誰でも通園制度」については、令和8年度からの本格実施を見据え、引き続き試行的事業に取り組んでまいります。
また、放課後児童クラブにおける待機児童の早期解消に向けて、民設放課後児童クラブの整備の推進と、「さいたま市放課後子ども居場所事業」については、令和8年度からの本格実施を見据え、モデル校を13校に拡大します。
さらに、保育園や幼稚園、放課後児童クラブの人材を確保するため、保育士や放課後児童支援員の処遇改善を拡充するとともに、幼稚園教諭等にも対象を拡大します。
次に、誰もが生き生きと長生きできるまちづくりです。
認知症の予防と共生のまちづくりを進めるため、認知症の早期発見・治療につなげるもの忘れ検診や、当事者を含めた多様な主体のまちづくりへの参画・連携を促進する拠点として、「認知症フレンドリーまちづくりセンター」を運営します。また、高齢者等の外出支援のため、地域住民等が実施する移動支援事業に対して補助を拡充するとともに、公共交通に課題のある地域では、グリーンスローモビリティやAIデマンド交通の実証実験を行います。
障害のある方に対しては、自立した生活を送れ、社会参加が進むよう、外出支援を引き続き実施します。さらに、重度障害のある方に対する日常生活支援用具の給付について、昨今の物価変動を踏まえ、補助基準額を見直します。
また、発達障害のある方に対する地域支援体制を強化するため、地域支援マネジャーの配置を拡充します。
このほか、地域共生社会の実現に向けて包括的な支援体制を整備するため、コミュニティソーシャルワーカーを4区に配置し、支援制度の狭間にある生活課題を抱えた方等に対して、伴走型支援を行います。
帯状疱疹ワクチン接種については、50歳以上の方を対象として、本市独自の助成を行います。
がん患者のアピアランスケア支援については、がん治療によって生じた外見の変化を補うために購入した医療用補整具の費用に対し、引き続き補助を行います。
市民の方が安全・安心に暮らせる地域社会を実現するため、セーフコミュニティの活動を引き続き進めるとともに、認証満了後の再取得に向けた手続を進めます。
また、駅前広場等への防犯カメラの新規設置や、自治会による防犯カメラの設置を引き続き支援します。さらに、いわゆる闇バイトを背景に体感治安が悪化していることに鑑み、データに基づき、防犯上設置の必要性が高い地域に対して防犯カメラを設置するなど、戦略的な整備・活用を推進します。
このほか、自治会の事務効率化・加入率向上のため、自治会が電子回覧板を導入する際の費用を支援するとともに、ICT活用講座を引き続き実施します。
(激甚化する自然災害への対策強化)
3本目の柱として、激甚化・頻発化する自然災害による被害から、生命・身体・財産を守るための対策を強化します。
首都直下地震等に備えた九都県市合同防災訓練を、本年は、本市を中央会場として開催します。九都県市相互の連携の充実・強化、さらには、市民一人ひとりの防災知識等の向上を目指して取り組みます。
落橋などの致命的な被害を防ぐため、治水橋や羽根倉橋等の耐震補強を実施します。
また、慢性的な交通渋滞の緩和や、災害に強い道路ネットワークの形成等のため、幹線道路の整備を引き続き推進します。
豪雨災害への対応については、治水安全度の向上を図るため、新川、黒谷川等の準用河川の改修を行うほか、雨水管・雨水貯留施設等の整備を推進します。
また、浸水被害軽減に向けて、油面川流域の流域貯留浸透施設や東徳力調節池の整備を推進します。
さらに、災害時に避難所となる市立小中学校の体育館への空調設備の整備を進め、市立中学校全校への設置を令和7年度中に完了させます。さらに、市立小学校への設置は、一部前倒しで進めるほか、効果的・効率的に整備を推進するための整備方針を令和7年度中に決定します。
このほか、地域防災力の向上を図るため、自主防災組織の結成や活動を一層支援します。
また、「(仮称)岩槻消防署城南地区出張所」の整備や、消防救急デジタル無線基地局設備の更新を進めます。
(DX推進と公民学共創による質の高い市役所の創造)
4本目の柱として、「さいたまデジタル八策」に基づき、全庁横断的にDXを強化し、更なる市民サービスの向上と業務効率化に取り組みます。
区役所窓口の利便性向上のため、西区役所で先行導入した「書かない窓口」を全区に展開し、窓口のデジタル化を推進します。
また、使用料・手数料等のキャッシュレス決済について、環境センター等に拡大します。
さらに、クラウドシステムを活用して、職員が使用する新たなグループウェア環境を整備するなど、職員の働きやすさの向上を図ります。
公民連携を推進し、行政コストの削減とともに、質の高い行政サービスの提供のため、Park-PFIを活用した公園整備事業等に取り組み、「(仮称)埼玉県立総合教育センター跡地公園」と与野公園を新たな公園としてオープンします。
次に、総合振興計画の重点戦略に沿って、関連事業も含めて申し上げます。
1 先進技術で豊かな自然と共存する環境未来都市の創造
「先進技術で豊かな自然と共存する環境未来都市の創造」については、次世代自動車の普及を促進する「E-KIZUNA Project」に引き続き取り組み、市民・事業者への支援策やEV教室等の啓発活動を実施します。
また、見沼田圃の保全・活用・創造に向けて、自然環境に配慮した公園等の整備を進めるため、加田屋地区の広場の基盤整備等に取り組みます。
2 一人ひとりが“健幸”を実感できるスマートウエルネスシティの創造
「一人ひとりが“健幸”を実感できるスマートウエルネスシティの創造」については、さいたま市健康マイレージにより、楽しみながら歩くことを中心とした継続的な健康づくりを支援します。
また、医療・介護のデータを活用した、生活習慣病の重症化やフレイルの予防を目的とする保健指導や、「通いの場」等での健康教育等を実施します。
さらに、歯科診療や歯科保健サービスを受けることが困難な方の歯科医療を充実させるため、「(仮称)さいたま市口腔保健センター」の整備に向け、実施設計を進めます。
3 笑顔あふれる日本一のスポーツ先進都市の創造
「笑顔あふれる日本一のスポーツ先進都市の創造」については、アーバンスポーツができる場所の新たな整備等に取り組むとともに、初心者や親子向けの体験機会を提供します。
また、JCHOさいたま北部医療センター跡地に、公民館、児童センター等の公共施設と、屋内スポーツ施設等の民間施設を公民連携により整備するため、事業者の公募等を行います。
さらに、引き続き、「ツール・ド・フランスさいたまクリテリウム」の開催を支援するほか、多くの市民が楽しめるフルマラソンを含む「さいたまマラソン」を開催します。
4 子どもたちの未来を拓く日本一の教育都市の創造
「子どもたちの未来を拓く日本一の教育都市の創造」については、市立小学校の35人学級を推進するための、教室確保に向けた改修や仮設校舎の設置、市立小中学校の早期の洋式トイレ化を引き続き進めます。
また、過大規模校の解消を図るため、大和田小学校の令和8年4月開校に向けた整備と、学校体育施設の市民開放に向けた準備を進めます。
さらに、中学校の休日部活動の地域展開に向けた検討を行うため、モデル校において引き続き検証を実施します。
5 ヒト・モノ・情報を呼び込み、東日本の未来を創る対流拠点都市の創造
「ヒト・モノ・情報を呼び込み、東日本の未来を創る対流拠点都市の創造」については、広域的な防災拠点の要となり、多くの方が訪れるさいたまセントラルパークの整備に向けて、用地取得を進めます。
また、広域道路ネットワークを構築するため、新大宮上尾道路等の整備を促進するほか、自然と共生した核都市広域幹線道路の概略計画の取りまとめに向けて、国や県と連携し、地域の皆様への情報提供や意見聴取を行いながら、検討を進めます。
さらに、企業誘致や産業集積拠点の整備を進めるとともに、新たな産業集積拠点の整備に向けた詳細の検討を行います。
6 子どもから高齢者まで、あらゆる世代が輝けるまちづくり
「子どもから高齢者まで、あらゆる世代が輝けるまちづくり」については、子育て家庭の様々なニーズに応えるため、認可保育所等の整備を進めるなど、多様な保育の受け皿を確保します。
また、子育てヘルパー派遣事業やファミリー・サポート・センター事業の利用料金引下げ、多胎児世帯への外出支援事業を新たに実施するほか、子どもや若者の意見を市政へ取り入れるためのワークショップも開催します。
また、ふれあいと活力ある長寿社会の形成に寄与するため、「ねんりんピック彩の国さいたま2026」の開催に向けて、共催する埼玉県や関係団体と連携し、準備を進めます。
ケアラー・ヤングケアラーについては、ケアラー等からの電話等による相談や、ヤングケアラーのいる家庭への訪問などにより支援します。
このほか、Park-PFI等を活用し、子どもから高齢者まで誰もが安心して利用できる身近な公園の新規整備や改修を行い、都市公園のシンカを推進します。その際には、夏場の暑さ対策など多様化するニーズへの対応の検討や、地域特性や子どもの意見を踏まえた、ボール遊び等に関する公園利用のルールづくりに試行的に取り組みます。
7 激動する新時代に「未来技術」で躍動する地域産業づくり
「激動する新時代に「未来技術」で躍動する地域産業づくり」については、市内中小企業のDX推進など、生産性や付加価値の向上に向けた取組を支援します。
また、仕事を探している方向けの講座や市内企業とのマッチング支援等、就労と企業の人材確保を支援します。
さらに、地場産農産物の流通や消費拡大に向けて、環境と調和がとれた持続性の高い農業生産活動への支援、情報発信や販売促進イベントを実施します。
8 災害に強く、市民と共につくる安全・安心なまちづくり
「災害に強く、市民と共につくる安全・安心なまちづくり」については、出動報酬額の引上げ等による消防団員の処遇改善や、消防団支援アプリの導入など、地域防災の中核的存在である消防団の充実強化に取り組みます。
また、地域の自主防犯活動を引き続き支援するほか、自転車の安全利用を推進するための講習会を開催し、参加者に対して自転車ヘルメットの購入費用を補助します。
さらに、住民が主体となった防災の取組を支援するほか、宅地造成・特定盛土等に伴う崖崩れや土砂の流出による災害を防止するため、必要な調査と規制を実施します。
9 環境に配慮したサステナブルで快適な暮らしの実現
「環境に配慮したサステナブルで快適な暮らしの実現」については、循環型社会を実現するため、市民、事業者、行政が連携して、食品ロス削減を始めとする一般廃棄物の3Rに向けた取組を拡大していく必要があります。
このため、プラスチックごみを分別・リサイクルすることにより、焼却量や最終処分量の削減を進めるとともに、令和8年度からの製品プラスチックの一括回収に向けて、プラスチック資源化施策の広報・啓発を実施します。
10 絆で支え合い、誰もが自分らしく暮らせるまちづくり
「絆で支え合い、誰もが自分らしく暮らせるまちづくり」については、自治会活動の活性化に向けた支援を行うほか、各種人権政策の推進、インターネット上の誹謗中傷等に係る相談窓口の運営等による被害者支援を実施します。
文化芸術都市の創造に向けては、市民サポーター活動を始め、これまでの芸術祭で生まれた作品や活動、つながりを市民主体で残していくため、アーツカウンシルさいたまを支援します。
また、市民会館うらわについて、浦和駅西口南高砂地区の再開発事業地内の複合ビルへ機能移転するための準備を進めます。
11 質の高い都市経営の実現
最後に、「質の高い都市経営の実現」については、多様化・複雑化する行政課題に柔軟に対応するため、多様な公民連携手法を活用し、行政コストの削減を図りながら、質の高い公共サービスの提供を実現してまいります。
多様化する市民ニーズや新しいライフスタイルに対応するため、オンラインにより可能な行政手続を拡大するなど、市役所のDXを推進します。
個人版ふるさと納税の受入拡大を図るため、返礼品を更に拡充し、クラウドファンディング型ふるさと納税を活用します。
また、企業版ふるさと納税の受入拡大に向けた取組を推進し、自主財源の確保につなげてまいります。

5 結びに

「昨日から学び、今日を生き、明日に希望を抱け。大切なのは、疑問を持ち続けることだ。」という言葉があります。今年、没後 70年を迎えるアルベルト・アインシュタイン博士の言葉です。
アインシュタイン博士は、幼少期に父からもらった方位磁石を見て、なぜいつも同じ方向を指すのか疑問に思い、考え続けた結果、目に見えない地磁気の存在に気付き、自然界に秘められた謎に強い関心を抱くこととなりました。
その後、「相対性理論」という世紀の大発見に至りましたが、後にアインシュタイン博士は、こう回顧しています。「ずっと時間や空間の不思議さを考え込んできたことが発見につながった。何かを成し遂げるには、何かにこだわり続けるしか、道はない。」
本市も、いずれは人口減少局面を迎え、経済規模の縮小や財政の硬直化、さらには地域の担い手不足等、深刻な社会課題と向き合う時が訪れる見込みです。
そうした予測に妥協せず、困難な局面でも本市が更に発展していくには何が必要かを常に問い続け、現場に足を運びこの目で観察し、新たな施策の着想を発見する。それを強い決意で実行に移すことで先手を打っていく。これを絶えず繰り返していくことで、その先にある答えに辿り着ける。アインシュタイン博士の言葉は、学問分野にとどまらず、市政運営の本質に通ずるものでもあると思います。
私は、21世紀半ばまでに、「上質な生活都市」、「東日本の中枢都市」という将来都市像の実現にこだわり続けます。そのため、令和7年度には、これまで申し上げたような、幅広い分野において、必要な見直しを加えた上で、新規事業の実施や、既存事業の掘下げ・拡充を行い、これまでより一層きめ細かく施策を展開することとしております。それに全力で取り組むことを通じて、市民の誰もが未来に向けて希望を描き、安心して暮らしていける都市へと本市を更にシンカさせていく所存です。
以上、令和7年度の市政に臨む私の所信及び市政の基本方針を申し上げました。市民の皆様及び議員各位の御理解、御協力を賜りますようお願い申し上げます。
さて、今議会に提出いたしました議案は85件でございます。
予算議案といたしまして、補正予算が16件、新年度予算が17件、また、条例議案が31件、一般議案が21件でございます。
何とぞ慎重なる御審議の上、各議案につきまして、御承認を頂きますようお願いを申し上げます。
令和7年2月4日
さいたま市長 清 水 勇 人

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