マラドーナが世界デビューした地

今から60年以上も前の1960年、氷川神社に隣接する全面あし原の湿地帯をトラック7000台分の土砂で埋め立てとあるスタジアムが建てられました。陸上競技用のトラックがある総合競技場が当たり前だった時代に、日本初の「サッカー専用」スタジアム「埼玉県営大宮公園サッカー場」が誕生したのです。

その直後、1964年の東京オリンピックでは、サッカー会場の一つとしていくつもの試合が行われました。

1964年東京オリンピック時のピクトグラムモニュメント
"神の子"マラドーナが世界デビューしたのはこのスタジアム!大会当時のピクトグラムレリーフはスタジアム会議室に残っています

ちなみに、大会競技ピクトグラムが世界中に広がったのは1964年の東京オリンピックでの使用がきっかけ。当時のピクトグラムモニュメントが今もバックスタンド観客席の両脇壁面に残っていて、重厚な質感や年季の入った錆から歴史が感じられます。

1979年にはFIFAワールドユース選手権が日本で開催され、"神の子"として有名なアルゼンチンのサッカー選手・マラドーナが世界デビュー。その活躍は、会場にもなった大宮公園サッカー場の大きな歴史の1ページとなっています。

21世紀に入り、2002年日韓ワールドカップではブラジル代表の練習場となりました。メインスタンドの観客席の下にある会議室には、ロナウジーニョやロベルト・カルロスなど、当時世界的に有名だったブラジル代表選手たちのサインが壁中に書かれています。

そんな歴史ある大宮公園サッカー場が現在の形になったのは2007年。ホームスタジアムとしている大宮アルディージャがJ1に昇格したのを機に、より多くの人が快適に観戦できるよう客席の増設とメインスタンドへ屋根を設置し、名称も「NACK5ナック ファイブスタジアム大宮」に変更されました。現在もプロ・アマ問わずサッカーの試合が一年中行われています。

ロナウジーニョをはじめとする当時の世界的名選手たちのサインが残る会議室の壁
ピッチの奥に桜並木が広がる改装前のスタジアム

「専用」ならではの景色

サッカー専用スタジアムならではのフィールドの近さで、ここでは選手同士が掛け合う声がはっきり聞こえ、ボールが観客席まで飛んでくることもしばしば。何より選手の勝ちたいという気迫がこもった表情をすぐ目の前で見ることができ、自然と声を出して応援したくなります。

個人的なおすすめ席は、バックスタンド側の最前列。また、ホームゴール裏最上段の観客席からは、大宮公園や氷川神社、大宮の街並みが一望できます。是非、一度足を運んでみてください。