

地域の日常にかかせない行列店
繁華街ではない住宅地にあるにも関わらず、お客さんが絶えない緑区の人気のパン屋さん「Boulangerie La Rue」。
「地域の暮らしに寄り添いパンを焼きたい」との想いから、住宅地が広がる道祖土に構えた店の周りには、小さな子どもから大人まで、足繫く訪れる地域の人たちの姿があります。
「ラリュ」とはフランス語で「道」の意味。パンを求める人たちが、来る時も帰る時も「今日はどれにしようかな」「早く食べたいな」とわくわくする道でありたいという願いが込められています。お店には「地域の人が健康で毎日安心して食べられるパン」を軸に、こだわりの素材に余計なものは加えず、一つひとつ丁寧に焼き上げられたバラエティ豊かなパンが並びます。朝食やランチ、おやつや夕食まで、様々なシーンで地域の食卓を彩っています。

経験と技術が詰まった理想のパン
約100種類ものパンがすき間なく並ぶ店内の奥では店主の岩田慎吾さん、香菜さんご夫婦が、途切れなく見事な連携で次々とパンを作り続けています。
「パンそのものを味わってほしい」と香菜さん。「極み卵コッペ」はコッペパンと卵サラダというシンプルな組み合わせながらも、思い描くおいしさを求めて試作を重ねたと言います。卵サラダの食感と合うよう生地の配合を変え、生クリームを加えたコッペパンは、具材と絶妙になじみスッと溶けるような歯切れの良さ。パン、具材、味付け、すべてにおいて何がベストな組み合わせなのかを、妥協せずに追求しています。2人の技術が結集したパンは、誰もが自然と笑顔になる美味しさです。
「パン作りで辛かったことは?」との質問に、思い当たる節がないといった様子の2人。いきいきとこだわりを話す姿からは、心からパン作りが好きだという気持ちを感じます。
「地域の人たちのために、記憶に残るパンを焼きたい」。心づかいが細部に行き届くラリュのパンからは、香ばしさや小麦の風味とともに、2人のそんな想いも伝わってきます。
パン作りに向き合う姿勢にたくさんの刺激をもらい、お店から帰る「道」のあいだ、心が弾みました。

