市議会だよりさいたま(ロクマル)No.102 2025年2月1日発行(令和6年12月定例会号) ロクマル=60 60人の議員は市民の代表。さいたま市議会の動きをコンパクトに伝えます。 ■■2-3ぺージ------------------------------------------------------------------ トピックス インタビュー 芥川賞作家・九段理江(くだん りえ)さん 読書をする「孤独な時間」が自分をより豊かに育んでくれる 2024年1月に『東京都同情塔』で第170回芥川賞を受賞した作家の九段理江さんに、市議会の印象やさいたま市への思いを聞きました。 九段 理江(くだん りえ)さん 1990年、旧浦和市生まれ。2021年『悪い音楽』で第126回文學界新人賞を受賞しデビュー。2023年、『Schoolgirl』(文藝春秋)で第73回芸術選奨新人賞受賞、『しをかくうま』(文藝春秋)で第45回野間文芸新人賞受賞。2024年、『東京都同情塔』(新潮社)で第170回芥川賞受賞。 ■学生時代を過ごしたさいたま市は「文学が生まれるまち」 ◆インタビュアー 九段さんは浦和市(現・さいたま市)生まれで、学生時代を過ごされたのですね。 ◆九段 幼少期と、高校から大学の7年間をさいたま市で過ごしました。けっして、真面目な学生ではなかったのですが、図書館が大好きで市内の図書館はすべてめぐったマニアです。高校時代、当時の自宅近くに北図書館ができたことは、それまでの人生で一番うれしい出来事でした。仲の良い高校の司書の先生に「もう私、学校の図書室は利用しないかもしれません」と宣言してしまうくらい、浮かれてしまいました(笑)。最近も、さいたま新都心駅近くに移転した大宮図書館を訪ねて、「この近くに住みたい!」と、周辺地域の物件を探したほどです。 ◆インタビュアー 本日、傍聴いただいた市議会でも、議員から「図書の充実と図書館の環境向上」に向けた一般質問が出されていました。 ◆九段 議員さんの発言で「さいたま市は、図書館数と図書の貸出し数が政令指定都市で一位」と聞いて、私の中にある仮説と合致しました。『Schoolgirl』も芥川賞候補となったのですが、当時の候補者5名のうち3名が埼玉県出身の作家だったんです。記者さんに「なぜ、埼玉県の作家が多いのですか?」とたびたび聞かれて、最初は「偶然でしょう?」と戸惑っていたのですが、考えてみると、ここには文学を育む土壌があるのだと思い至りました。 ◆インタビュアー 新たな文学者や文学作品が生まれる、さいたま市ならではの理由があるのですか? ◆九段 さいたま市は平和かつ、いい意味で退屈なまちですよね。そして、刺激にあふれた大都会が近くにあります。都会に住む人は、何にでも簡単にアクセスできるので、意外と出不精が多いように思います。でもさいたま市の人には、「自分の力で知見を広げなければ」「ゼロから何かを生み出さなければ」という焦燥感がある。積極性やハングリーな気概が、自然と身につく環境のような気がしますね。そして刺激を浴びた後に、退屈なまちに帰ってくるという、静と動を同居させる、すごくダイナミックな体験を日常的に行っています。青春時代に、賑やかなまちと行き来しながら、静寂や孤独と向き合って、本を読んだり、思考を深めたりした体験が、文学を生み出す力になったのではと思います。未発表ですが、実は数年前に『アリストテレス・イン・サイタマシティ』という、埼玉県に実在する高校を舞台にした作品も書いたことがあるんです。さいたま市は、文学のタネが至るところに眠っている魅力的なまちです。 ■市議会で語られる言葉にも感情を乗せて 心を動かし、未来を変える対話を ◆インタビュアー 市議会の印象はどうでしたか? ◆九段 市議会は、議員や行政の方々が言葉を駆使し、新たな時代を生み出す創造の場だと感じました。ただ、きっちり淡々と話されるせいか、少し「演劇感」がありましたね。誰にでもわかりやすく伝わる言葉を選び、また「炎上」などを避けるには、それが理想状態なのかもしれませんが……。 ◆インタビュアー 市民の皆さんに、市議会にもっと関心を持ってもらうためには、どうしたら良いと思いますか? ◆九段 『東京都同情塔』の中でも書いたのですが、批判を最小限に留めることを目指すと、言葉が平均化されて、AIの構築する文章に似てきてしまうんです。でも言葉は、感情が乗って初めて人に伝わります。私もその時、自分が感じていることを書くようにしていますが、そのためには、日頃から「何を伝えたいのか」を考え続けることが大事です。言葉は、人の心を動かし、現実や未来を変える力を持っています。市議会でも、もっと言葉に感情を乗せていくことで、市民の方が市政に一層、関心を持ち、未来に向けた対話が進むのではないかと思います。 ■自分の好きなことを続けて そして本をを読む「孤独な時間」を大切に ◆インタビュアー 数々の作品はどのように生み出されるのでしょうか。 ◆九段 私は、プロットは考えないで、いきなり言葉を書き始めるんです。出てきた言葉につながる言葉が次々と浮かんできて、物語が動き出す感覚です。自分でもどこにたどり着くのかわからない怖さがあります。『東京都同情塔』は、「うまく書いてやろう」という雑念をなくして、今の時代や言葉の力について、本当に自分が思っていることだけを表現した特別な作品です。今は、800年の時を生きる女性の物語を執筆中で、いつも頭の中にその女性がいる状態です。今日も800年後の視点から、「こんな時代もあったな」と懐かしく傍聴していました(笑)。 ◆インタビュアー さいたま市の未来を担う若い世代の方々に、メッセージをお願いします。 ◆九段 さいたま市民だった頃の私は、閉塞感や未来への不安を抱えた学生でした。でも好きなことを続けていたら、いつか人から「良かったよ」って言ってもらえたり、認めてもらえたりするかもしれない。私にとっては小説でしたが、皆さんも何でもいいので続けてみてください。そして、どんなジャンルでもいいので、本を読んでみてください。必要な情報が簡単に手に入るネットと違い、本には必要のないノイズがたくさんあります。読書って技術が必要で、苦しいんですよね。でも、苦労して一冊の本を読み通した時間は、いつか必ず自分の身を助けてくれる財産になります。自分に関係ない、役に立たないと思うものほど、与えてくれるものは大きいです。読書をする孤独な時間は、自分をより豊かに育んでくれます。そんな時間を、うっとうしいと思わずに、大切にしてほしいと思っています。 ■■4ページ------------------------------------------------------------------ クローズアップ 令和6年12月定例会(11月27日~12月20日/会期24日間) ■令和6年度補正予算議案を可決 物価高による負担軽減のための給付金支給など 議案第162号 令和6年度さいたま市一般会計補正予算(第6号) ほか9議案 国の補正予算に伴う物価高対策の実施、中央区公共施設再編・次世代型スポーツ施設の整備などに要する経費について、市長から令和6年度補正予算議案が提出され、可決されました。 <主な事業> ●住民税非課税世帯へ1世帯3万円の給付金を支給 ●低所得の子育て世帯へ児童1人2万円の給付金を支給 ●中央区役所周辺の公共施設の再編事業について、事業者を公募 ●(仮称)次世代型スポーツ施設の整備事業について、事業者を公募 ●浦和駅西口南高砂地区の市街地再開発事業を推進するため施行者に補助金を交付 ●1か月児健診に係る経費の一部助成に向けた準備 ●武蔵浦和駅周辺地区義務教育学校を整備 なお、(仮称)次世代型スポーツ施設の整備事業に係る予算については、予算委員会において、公園内に整備される施設であることに十分留意し、周辺環境との調和や幅広い市民意見の反映、市民利用の充実を図るとともに、国の補助金を活用するなど、市の財政負担の軽減に努めることを求める附帯決議がなされました。 ■さいたま市見沼環境センターを新設 議案第182号 さいたま市清掃センター条例の一部を改正する条例の制定について 資源の有効利用を促進し、安定した廃棄物処理を継続していくため、老朽化が進行している「さいたま市東部環境センター」を廃止し、同所に「さいたま市見沼環境センター」を新たに設置するための条例改正案が可決されました。 令和7年4月に供用開始予定の同施設は、市内で発生した家庭ごみなどを安定かつ安全に処理するとともに、効率的な資源化や焼却熱を利用した高効率発電による地域への電力供給など、循環型社会の構築、脱炭素社会の推進に資する施設となっています。 12月定例会で審議された議案 市長提出議案63件 このほかの議案などの審議結果は、さいたま市議会ホームページをご覧ください。「さいたま市議会」で検索 ■■5-10ページ------------------------------------------------------------------ 議員のQ&市のA 12月定例会「一般質問」ダイジェスト すべての質問の様子は、インターネット議会中継(録画配信)でご覧になれます。 一般質問 19人の議員が、市政に対する一般質問を行いました。質問の一部をご紹介します。 質問者 堀川友良(ほりかわ ともよし)/川村 準(かわむら じゅん)/永井里菜(ながい りな)/松本 翔(まつもと しょう)/竹腰 連(たけこし れん)/上三信 彰(うえさんのぶ あきら)/松村敏夫(まつむら としお)/関 ひろみ(せき ひろみ)/桶本大輔(おけもと だいすけ)/浜口健司(はまぐち けんじ)/佐藤征治郎(さとう せいじろう)/吉田一郎(よしだ いちろう)/吉村豪介(よしむら ごうすけ)/稲川智美(いながわ さとみ)/服部 剛(はっとり つよし)/阪本克己(さかもと かつみ)/中山淳一(なかやま じゅんいち)/中山欽哉(なかやま きんや)/伊藤 仕(いとう まなぶ) ■市の政策・行財政 ◆スポーツシューレ(*1)推進施設を 桜区のシンボリックな施設に Q.(仮称)さいたまスポーツシューレ推進施設の整備に当たっては、地元からも愛される桜区のシンボリックな施設とするために、どのようなことを考えているのか伺う。 A.(仮称)さいたまスポーツシューレ推進施設は、アスリートのみならず、市民に開かれ、地域のシンボルとなる施設を目指していきたいと考えている。具体的な機能の詳細については、現在精査を進めているところだが、地域の方々が気軽に本施設を訪れ、スポーツを始めるきっかけやスポーツを続けるためのモチベーションになるような機能、あるいは、万が一の際の地域における防災機能の役割を果たしていくことについても、検討を進めていく。 *1 スポーツシューレ シューレとはドイツ語で「学校」を意味する言葉であり、スポーツ施設やクラブハウス、研修・宿泊設備などを総合的に併せ持つ施設 ◆インスタグラムでの情報発信 テーマの幅を広げてみては Q.SNSは自治体の情報を届けるために必須と考える。さらにインスタグラムでは、食に関する投稿など市民参加型企画のテーマの幅を広げると効果的と考えるが、見解は。 A.本市では、インスタグラムの活用強化のため、若い世代向けの発信方法の見直しや、参加しやすい企画を検討している。また食をはじめとしたテーマの幅を広げることは、本市の様々な魅力を伝え関心を高めるとともに、多くの方の企画への参加につながると考えている。現在、本市の魅力であるスイーツをPRするため、バレンタインの時期に、市内のおすすめのチョコレートをテーマに投稿企画の準備を進めている。今後はターゲットに合わせたテーマ設定を行い、本市の魅力を戦略的に情報発信していきたい。 ◆国の交付金の活用で 物価高による負担の軽減を Q.物価高騰分に対する学校給食費支援や、デジタル地域通貨「さいコイン」のポイント付与など地域経済の活性化策の展開に国の重点支援地方交付金を活用してはどうか。 A.国が示している重点支援地方交付金の推奨事業メニューとして、今年度も実施している小・中学校などにおける学校給食費の支援、また、プレミアム付商品券や地域で活用できるマイナポイントなどの発行による消費下支えの取組などが掲げられている。本市の実情を踏まえた効果的な経済対策の実施に向けて、庁内検討の加速化を指示しており、国の補正予算が成立した場合には、本市としてもできる限り早い時期に補正予算案を提出できるよう準備を進めていく。 ◆南区の消防需要に対応 南消防署の現地建替えを Q.市民の生命と財産を守る南消防署の機能を果たすため、単独で現在地に建替えすべきと考える。消防署と複合施設となっている六辻公民館の移転を検討してはどうか。 A.六辻公民館は、地域の住民に最も身近な施設として、多くの方が利用している。地域の未来をつくる学びの拠点であり続けるために、利用者を第一に考えたうえで、今後の在り方を検討していくことが不可欠と考え、現時点では、現地での建替えの方向で検討を進めている。一方、南区は市内で人口や世帯が最も多く、高層建築も多いことから南消防署の防災機能充実も重要と認識している。現地での建替えだけでなく単独の施設としての可能性も視野に入れ、今後、調査を含め検討していきたい。 ◆武蔵浦和地区のスポーツ施設 基本計画の策定に向けて Q.令和7年度に基本計画策定予定の(仮称)武蔵浦和地区新設スポーツ施設を市はどのような施設にしたいと考えているのか。併せて計画への市民の声の反映方法を伺う。 A.(仮称)武蔵浦和地区新設スポーツ施設は、武蔵浦和駅周辺地区義務教育学校の整備に伴い解体される沼影小学校の敷地の一部を活用し、アリーナのほか屋内プールを併設した施設を検討しており、誰もが使いやすい施設となるよう整備したいと考えている。また、基本計画の策定に市民の意見を反映することは大変重要と考えており、市民や体育館利用者にアンケートを実施し、調査している。今後、いただいた意見を踏まえ基本計画の策定に向け検討を進めていく。 ◆適正な人件費の手当て 公契約条例の制定が必要では Q 人的労働が中心の業務について、積算ガイドラインは適切に活用されているか。また適正な人件費を手当てするために公契約条例の制定に向けて取り組んではどうか。 A.ガイドラインの活用については建物清掃業務などで例外的な事例が見受けられることから、ガイドラインの活用とともに適正な価格設定や労働条件の確保に配慮することなどを全庁に通知した。また業務委託においても、必要な業務量に基づく適正な人件費を積算し予算上の手当てを行うことはこれまで以上に重要と認識している。公契約条例については、適正な人件費に対する意識付けにつながり得るものと考えられ、他自治体の制定過程や内容なども確認し、検討を丁寧に進め必要な措置を講じていきたい。 ■福祉・保健・医療 ◆放課後子ども居場所事業 民設児童クラブへの対応は Q.放課後子ども居場所事業のモデル事業開始後の近隣民設クラブのひっ迫度合とクラブへの支援策は。また、委託実施基準額に対するクラブからの声への見解は。 A.モデル事業を実施している学区内の民設クラブ4か所の入室児童数は、年度当初と比較して2人の減少に留まっている。既存の民設クラブの運営事業者にも居場所事業を担っていただきたいと考えており、引き続き、積極的な情報提供を行い、参入しやすい環境づくりに取り組んでいく。また、拡充した委託実施基準額の活用がしづらいという声があることは認識しており、今後、活用実績や効果を検証するとともに、必要に応じて国への要望を検討していく。 ◆障がい者の日常生活にも影響 物価高騰や円安への対応は Q.日常生活用具の値上がりが障がい者の生活に影響を与えていることから、物価上昇に見合った給付基準額の改定を来年度から実施していただきたいと考えるが、見解は。 A.約60品目ある日常生活用具すべての品目について調査したところ、約5割の品目で販売価格が基準額を上回っていることを把握した。また、製品数が多い品目では販売価格にばらつきがあり、基準額を上回るものや下回るものが混在している状況である。障がい者に不可欠な用具については、関係団体からの要望もあり、物価高騰などの影響に早急に対応し、日常生活を少しでも円滑に送れるよう、調査結果や他自治体の状況を踏まえ、基準額の見直しに向け調整を進めていく。 ◆看護現場の人材育成のため 専門学校を看護大学に Q.進展する高度医療に対応できる看護師を養成していくためには、高等看護学院を4年制の看護大学にし、専門看護師の確保に努めることが重要と考えるが、見解を伺う。 A.少子化や高等教育修学支援新制度(*2)の施行による大学進学化により、専門学校を取り巻く環境は厳しい状況にある中、即戦力となる看護師の養成は喫緊の課題と認識している。また、公立施設として経済的負担の軽減や早期自立などのニーズにも対応しなければならない。専門学校は大学と比べ、費用面において負担が少なく、1年早く看護師免許を取得でき、実地で経験を積みながら地域医療に貢献できると考えている。こうした利点を踏まえ、志願者数の動向に注視しつつ、その在り方を検討していく。 *2 高等教育修学支援新制度 意欲ある子どもたちの進学を支援するため、授業料・入学金の免除または減額と、返還を要しない給付型奨学金により、大学、短期大学、高等専門学校、専門学校を無償化する制度 ◆進まない移植医療 臓器提供の取組を前向きに Q.日本での臓器移植の医療水準は世界トップレベルにあるものの、臓器提供者数は低い状況である。市立病院における臓器提供に向けた体制整備と提供実績を伺う。 A.日本の臓器移植医療においては、臓器を提供する医療機関と移植を行う医療機関があり、市立病院は提供する医療機関の役割を担っている。院内で臓器提供の手順書を作成し、医師・看護師・医療技術員・事務職など多職種からなる委員会を組織し、シミュレーション、勉強会などを行い、臓器提供が発生した際に速やかに対応できる体制を整えている。脳死となる見込みが高い場合、家族の同意が得られれば臓器提供の候補者となるが、症例は非常に少なく、院内体制の確立以降、臓器提供の実績は無い。 ■教育・文化 ◆リース契約の更新に当たり 教員用のパソコンの性能向上を Q.本市の教員用パソコンについて、現行端末の性能が低い。指導用の資料を作成するなど、タブレット端末を使用する生徒のためにも性能を向上すべきと考えるが見解は。 A.令和8年度に行う端末のリース契約の更新に向け、今年度、ワーキンググループを設置し、更新の在り方について検討を重ねている。全教職員対象の調査でも端末性能のさらなる向上を期待する声が多く、優先順位を上げて検討している。国は校務DXの方向性として、システムのクラウド化などを挙げており、それに見合う端末性能の確保は不可欠と考えている。今後は、国や他自治体の動向を注視しながら、教職員の授業や働き方を大きく変える可能性を秘めたICT環境の整備に一層注力していく。 ◆民間で保管困難な歴史的資料 行政資料として収集・保管を Q.開業100周年を迎えた武州鉄道のイベントがあり、新たな資料も出てきた。民間レベルで保管するには困難があることから行政資料として収集し、保管すべきでは。 A.本市では、民間で収集した資料を、相手方からの申出に応じて収集することがある。具体的には、歴史的に価値のある資料について、「寄贈」または「寄託」をしていただくことになる。寄贈の場合は、本市として永年保存するため、貴重な資料を次世代へ引き継ぐことが可能となる。また、寄託の場合は、本市として確実にお預かりすることで、資料の散逸を防ぐことが可能となる。このような取組により、歴史的に価値のある地域の資料の収集・保存に努めていく。 ◆新たな才能発掘と文化振興 市主催の文化賞を創設しては Q.活字文化の振興へ、市主催で文学賞やこども文学賞を創設してはどうか。文学の担い手の発掘、市の文化発信に寄与する取組として検討してほしい。市の見解を伺う。 A.本市では、「文化芸術都市創造計画」を策定し、盆栽、漫画、人形、鉄道を生かした取組を積極的に展開し、北沢楽天漫画大賞やユーモアフォトコンテストなどを実施している。一方、他自治体が実施している文学賞は、本市と同様、各地にゆかりのある著名な文学者を冠とする賞として行われている例が多く見受けられる。「さいたま市文学賞」や「さいたま市こども文学賞」の創設については、必要性も含め、教育委員会とも連携して研究していきたい。 ◆良好な学習環境の提供へ 図書館で勉強できる環境整備 Q.家庭環境の違いにかかわらず、すべての児童生徒に良好な学習環境を提供することが大事である。図書館で勉強できる環境を整えるべきと考えるが、現状と対策を伺う。 A.図書館には、自習席や資料閲覧席など利用目的に応じた座席を用意しているが、中央図書館、北図書館、大宮図書館などでは立地の良さや座席数の多さから学生の利用が多く、定期テスト前や夏休み期間は慢性的に自習室が埋まっている状況である。今後、中央図書館、北図書館については令和7年度からイベントルームを定期テスト前や夏休み期間中に、自習スペースとして開放していく。また、大宮図書館では必要な椅子が調達でき次第、自由席のレイアウトを工夫することで常時16席を増加していく。 ■経済・産業 ◆盆栽村開村100周年に向け 盆栽園に新たな看板設置を Q.大宮盆栽村の開村100周年に当たり、観光客が迷うことなく楽しめ、インバウンドも安心して案内できるよう、英語表記を交えた新たな看板の設置を検討してはどうか。 A.大宮盆栽村は、本市でもインバウンドが多く訪れているところであり、観光資源としても重要であると考えている。また、令和7年には大宮盆栽村開村100周年を迎えるに当たり、国内外から多くの方が来ることが予想されている。このことから、看板をはじめとした各種案内は、来訪者受入れのための環境整備につながることからも、各盆栽園や地元の方々の声も伺いながら、わかりやすい案内について、多言語表記も踏まえ検討していきたい。 ■まちづくり・環境 ◆地下鉄7号線の延伸計画と 病院整備計画中止の影響は Q.鉄道運輸機構と埼玉高速鉄道への技術支援要請により、計画の深度化はどこまで進んだのか。また、順天堂大の美園地区における新病院整備計画の中止が与える影響は。 A.建設費縮減や工期短縮については、岩槻駅周辺の施工ヤード拡大による複数班同時施工や、シールド工事における作業工程見直しの検討などを行っている。便益を積み上げるための施策としては、類似する鉄道駅周辺の開発事例の調査などを行いながら、規模拡大も含め最適なまちづくりに向けた検討を行っている。また、病院整備計画中止の影響は、建設予定地と駅が一定程度離れており、患者などの鉄道利用を多く見込んでいないため、大きくないと考えている。 ◆放射性廃棄物の漏出事案 概要と現在の状況は Q.さいたま新都心に位置する三菱マテリアルで、地下保管されていた放射性廃棄物が容器から漏出していた事案の概要を伺う。また、9月議会からの改善点は。 A.令和5年12月下旬に、事業場敷地内の地下に設置された保管容器の一部から内容物の染み出しが確認された。その後、原子力規制庁と事業者により管理区域内および地上部分の屋外における放射線量は通常であることを確認している。また、法に基づく事故報告の対象に至らないという同庁の見解から、是正指導などは行われていない。現在、事業者が同庁に原因特定調査の申請を提出しており、許可が下り次第、速やかに行えるよう、令和6年12月から準備作業に着手すると伺っている。 ◆大型商業施設への抜け道 速度制限につながる対策を Q.美園臨時グラウンド北側道路は大規模商業施設への抜け道で狭く交通量が多いが、制限速度60km/hと危険である。速度制限につながる手だてが必要と考えるが。 A.当該道路は、大門上・下野田特定土地区画整理事業地内にあり、組合事務局のさいたま市土地区画整理協会に確認したところ、過年度に交通管理者と現地立会いのもと、「スピードおとせ」や「横断者注意」の路面標示や、グリーンベルトの設置により注意喚起を行っている。また、路線の一部で外側線やグリーンベルトの設置が無い部分については、今年度設置する予定である。さらなる対策については、道路管理者および交通管理者と協議・調整を行っていく。 ◆大宮駅東口のエレベーター 早期改善が必要 Q.大宮駅東口エレベーターは不便で不衛生なため改善が急務であり、下りエスカレーターの設置を求める声も多い。駅前へのルミネ移転に併せ、早期に整備すべき。 A.大宮駅東口には、南側出入口にエレベーターが1基、中央出入口に上りエスカレーターが1基設置されているが、設置から15年以上経過し、経年劣化が進んでいる。地元から下りエスカレーター設置の意見もいただいているため、ソフト面も含めて早期の対応ができないか、JR東日本と協議を進めていく。検討を進めている大宮GCS化構想においては、エレベーター・エスカレーターなどの縦動線について、ルミネの移転を伴う新駅ビル整備の際に適切かつ合理的に配置していく。 ◆南区内谷の新設公園 公園のトイレ設置の考え方は Q.南区内谷に新設する公園では、近隣児童のアンケートの中でトイレ設置の要望が多かった。現計画ではトイレ未設置となっているが、公園のトイレ設置の考え方を伺う。 A.当公園は、周辺住民が利用することを主目的とした街区公園のため、意見交換会で提示した計画図では、トイレを配置していない。公園に設置するトイレは、利便性を向上させる一方、防犯の問題や臭いなどが生じる可能性があり、周辺への悪影響が見込まれる施設と認識している。そのため、街区公園でのトイレ設置に当たっては、公園に隣接する住宅や、道路を挟んで立地する方々すべての同意が得られた状態で、地元から要望を受けることにより、設置を検討している。 ◆西浦和駅周辺のまちづくり アクションプランの内容は Q.今年度中の策定を目途としている西浦和駅周辺のまちづくりの手法や実施時期、実施主体などを示す「西浦和駅周辺まちづくりアクションプラン」の具体的内容を伺う。 A.現在、「西浦和駅周辺まちづくり方針」に基づきまちづくりを推進していくため、アクションプランの策定を進めている。特に、最も重要な市の取組である西浦和駅南口駅前広場およびアクセス道路の整備は、短期的には都市計画決定、中長期的には田島団地の団地再生事業と連携を図り整備を行う予定である。その他の地域は、地区計画や準防火地域の指定により、安心・安全なまちづくりを進めたく、短期的には地権者との意見交換により素案をまとめて、合意形成を図るとともに都市計画決定していきたい。 ◆夜は暗い「緑のヘルシーロード」 街路灯の設置実現に向けて Q.芝浦工大裏側の160m区間には街路灯が無く、日が暮れてからは暗くて危険である。春岡小・春野中の通学路でもあり誰にとっても安心・安全な環境をどう実現するのか。 A.「緑のヘルシーロード」は、主に埼玉県が管理している自転車・歩行者・農耕車の専用道路である。本市が管理する道路ではないため、本市が街路灯を設置することはできないが、一部の区間については通学路に指定されるなど、地域住民の生活道路として利用されている。今後、管理している埼玉県や水資源機構に街路灯設置の要望を伝えるとともに、本市としても隣接する本市が管理している公道を利用して公衆街路灯を設置することができるか調査していく。 ■■11ページ------------------------------------------------------------------ さいたま市議会からのお知らせ ■小学生が市議会を訪問 主権者教育の一環として、野田小学校、常盤北小学校、与野南小学校の6年生の児童が市議会を訪れました。児童が議員に質問を行う形で、学校ごとに臨時会を開催し、進行役の議長も児童が務めました。「議員として心がけていることは」「議会がないときや休日は何をしていますか」など、合計18人の児童から質問があり、議員が真摯に答弁を行いました。 未来を担う子どもたちに市議会を身近に感じていただくため、今後も積極的に主権者教育を推進してまいります。 ■大宮駅GCS化構想特別委員会でオープン委員会を開催 令和6年10月28日、大宮駅グランドセントラルステーション化構想特別委員会では、「大宮GCS構想とみどりの調和」をテーマにオープン委員会を開催しました。会場となった大宮門街の屋外スペースには立ち見を含め60人以上が来場し、講師の大宮GCSまちづくり調整会議副会長・古澤達也氏による都市の緑地確保の重要性に関する講演ののち、質疑応答の時間を設け、委員や市民から意見や質問が寄せられました。 ■議員向けハラスメント防止研修を実施 令和6年11月21日に議員を対象としたハラスメント防止研修を開催しました。講師には、独立行政法人労働政策研究・研修機構の内藤忍氏を迎え、各種ハラスメントの概要や政治分野におけるハラスメントの実態と事例、防止のために必要なことなどについて学びました。政治分野における男女共同参画の推進やハラスメント防止への理解を深める有意義な機会となりました。 ■■12ページ------------------------------------------------------------------ ■ロクマルキーワード 12月定例会の中から気になる言葉を取り上げ、解説します。 『校内教育支援センター(Solaるーむ)』 ◆誰一人取り残されない学びの保障に向けて 校内教育支援センターとは、学校には行けるものの、自分の教室には入れない児童生徒が利用できる、学校内の空き教室などを活用したスペースです。プリントやオンライン授業など、一人ひとりのペースに合わせた学習サポートや、気持ちに寄り添った相談が行われています。環境面、心理面での児童生徒の「居場所づくり」によって、不登校により学びにアクセスできない子どもたちをゼロにするための一翼を担っています。 ■令和6年度に市立小・中学校などに「Solaるーむ」を導入 本市においても不登校等児童生徒が増加している状況にあることから、令和6年4月にすべての市立小・中学校および中等教育学校(前期課程)に校内教育支援センターを導入しました。これまで各校が取り組んでいた別室における学習環境を、「Solaるーむ」と名付け制度化したものです。フランス語で太陽を意味する「Soleil」と日本語の「空」を掛け合わせた造語で、すべての児童生徒が、あたたかい支援のもとで自分の個性を大きく伸ばしてほしいという思いが込められています。 ■編集後記 今号のトピックスでは、芥川賞作家の九段理江さんにインタビューを行いました。和やかな雰囲気の中、さいたま市の魅力や思い出などたくさんお話しいただきました。当日は本会議も傍聴いただき、真剣に耳を傾けている姿が印象的でした。さて、寒い日が続きますが、市議会では2月定例会が開催されます。寒さに負けない熱い議論を交わしていきたいと思いますので、ご注目ください。 ◆議会広報編集委員会 [委員長]議長 帆足和之(ほあし かずゆき)/[副委員長]副議長 西山幸代(にしやま さちよ) [委員]相川綾香(あいかわ あやか)/ 大貫田鶴子(おおぬき たづこ)/ 池田めぐみ(いけだ めぐみ)/北岡久住(きたおか くじゅう)/ 佐藤真実(さとう まなみ)/ 稲川智美(いながわ さとみ)/ 津和野眞佐子(つわの まさこ)/谷中信人(やなか のぶと)/ 高柳俊哉(たかやなぎ としや) ■さいたまアルファベット 今号の表紙は[中央区] 表紙では、さいたま市10区の様々な魅力を紹介しています。それぞれの名産品や名所などを組み合わせて、各区の名前を表現しています。今号は、バラ、けやきひろば、大正時代まつりなどを取り上げました。 ■次の定例会は2月4日(火)~ 会期日程は、ホームページをご覧ください。くわしくは議事課までお問合わせください(Tel.829-1753)。 ■インターネット中継 会議を生中継・録画配信しています。パソコンやスマートフォンなどからご覧ください。※現在、区役所ロビーでの放映は行っておりません。 ■本会議・委員会の傍聴 開催日当日、議会棟3階で受付しています。※手話通訳・要約筆記をご希望の方は、7日前までに議事課にご連絡ください(Fax.829-1984)。 ■テレビ番組「ようこそさいたま市議会へ」テレビ埼玉 令和7年3月30日(日)午前10時~ 放送予定 過去に放送した番組も市議会ホームページやYouTubeで視聴できます。 市議会のくわしい情報は、さいたま市議会ホームページをご覧ください。 「さいたま市議会」で検索 この議会広報紙は650,500部作成し、1部当たりの作成経費は11円です(企画編集の経費を含みます)。 No.102 2025.2.1 市議会だよりさいたま 編集・発行>>さいたま市議会 〒330-9588 さいたま市浦和区常盤6丁目4番4号 Tel.048-829-1748 Fax.048-829-1984